【連続note小説】日向食堂 小日向真司46歳
「最近、店、流行ってるみたいじゃねえか」
「まぁ、そこそこってとこかな」
稲本は日向食堂の常連客になっていた。
稲本は社員を連れてよく店に来てくれた。
「おまえ、来てくれるのはいいけど、その格好、どうにかならないか」
稲本も社員も身なりがどっからどう見ても、普通のサラリーマンではない。
「これも仕事には必要なことなんだよ」
ぶすっとする部下の頭を一発叩いて、稲本はご機嫌だった。
「稲本、お前のおかげで助かったよ。本当にありがとう」
「水臭いこと言うなよ。救ってもらったのは俺の方だ。あの時はお前に会わなかったら、俺は今頃刑務所にでもいるんじゃないかなぁ」
「別に何をしたってわけじゃないけどなあ」
「真司は人を助ける運命にあるんだよ。お前のすることが全て人助けなるんじゃないのか。恩義ってのはブーメランみたいなもんでな。おまえ、そこら中にブーメラン投げまくってたから、まぁその一本が回り回ってお前のところに戻って来たんだよ。一本じゃねぇな。吉田の分も合わせて二本分だ」
「なんか話しがよくわからん」
二人は顔を見合わせて大声で笑った。
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<続く…>
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