【連続note小説】日向食堂 小日向真司6歳
真司は小学校に入学した。
真意は真新しいランドセルを背負って毎日小学校に通った。
誠司は無理をして真司に勉強机を買ってやった。
真意は毎日のようにその机に座って、絵を描いたり、粘土細工で遊んだりしていた。
誠司も文枝もその姿を見ると、無理をして買った甲斐があったと喜んだ。
実は逆だった。真司は両親の嬉しそうな顔を見たくてそうしていた。
真司はとにかく弟・歳之の面倒を良く見た。
小学校から帰ってくると、家事と歳之の育児に追われ忙しくする母の姿を見ると、
「お母さん、歳之はぼくが面倒を見るから大丈夫だよ」
そう言って文枝の背中から歳之を受け取ってやった。
時には歳之のおむつを替えてやることもあった。
文枝は真司が他の子と比べておかしいのではないかと思った時期もあった。
しかしこの子は純粋に人のためになることをして、人を喜ばせることに喜びを感じていることを理解していた。それと同時に文枝は残業と休日出勤を繰り返し、誠司が家にいないことに不安を感じ始めていた。
<続く……>
<前回のお話はこちら>
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