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ぼくは立食パーティが苦手

ぼくは立食パーティが苦手だ。

長時間、立ちっぱなしで足腰が辛いという理由はあるが、最も困ることはテーブルを移動するタイミングが難しいことだ。

乾杯の後、しばらくは同じテーブルに居合わせた数人の方と会話をする。

しかし、一人減り、また一人減り、気が付けばぼくともう一人だけが残ってしまう場合がある。

こうなってしまうと、他のテーブルに行きたくてもそのテーブルを立ち去れない。

おそらく相手もそう思っているだろうが、お互いテーブルを移動したいと口に出せない。

時間が過ぎて行くと、話すことも尽きてくる。

我慢しきれずにトイレに立ち、パーティ会場に戻ってくると、その人がポツンと一人でテーブルに残っている。

"なんで移動してくれていないんだ"
そう心の中でつぶやきながら、また元のテーブルにもどる。

その人を一人にして他のテーブルに移動してもいいのだが、そらでは何か罪なことをしたような気分になる。

そしてまた同じ気まずい時間を繰り返すことになる。

そこで救世主のように第三の人が現れる。

"助かったぁ"
心の中で喜ぶのも束の間、やはり会話が長くは続かなくなる。

この第三の人に任せてテーブルを離れようか、そう思ってみるものの、何か押し付けてしまうようで、また罪悪感に苛まれる。

こんな事態になることを回避したいのであれば、乾杯をした直後からテーブルを立ち去るタイミングを計らなければならない。

要するに最後の二人にならなければいいんだ。

しかし、そんなことを気にしながらお酒を飲むのも面倒くさい。

何をやっても気軽にお酒が飲めない。

やはりぼくは立食パーティが苦手だ。

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鈴々堂/rinrin_dou@昭真
小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。