全国の建設業の方々に捧ぐ
20歳代の頃、深い山の中の現場に勤務したことがある。
市街地へ行くには、車で1時間以上走らなければならない。
市街地といっても決して都会ではない。
当然のように土曜日は休日じゃない。
平日は朝8時から作業が始まって、現場は午後5時で終わるが、それから書類作成が始まる。
仕事が終わって食堂の冷えたおかずを温めて食べる。
あとはお風呂に入って寝るだけ。
風呂の脱衣場も洗面所も屋外、真冬の朝でも水で顔を洗う。
飯場の部屋は四畳半でテレビがあるだけ。
今のようにゲーム機なんかなかった。
外界との接触は全くない。
閉鎖された世界だ。
そんな世界でもっとも困ったことは、休日の過ごし方だ。
休日でも朝7時には自然と目が覚める。
それから夜寝るまでやることがない。
テレビはあるが、放送しているチャンネル数があまりに少ないから見る気にならない。
散歩をしても坂道しかないからすぐに嫌になる。
いよいよやることがないとわかると、お酒を飲むしかない。
しかしお酒のあてがない。
仕方がないから車に乗ってあてを買いに行くが、コンビニどころか民家自体がない。
諦めて飯場に帰って、あてはないかと食堂を探ってみるが何もない。
仕方なく朝食の時に食べた味付け海苔を持ってきて一人酒を飲み出す。
それもそう長くは続かない。
お酒が体の中に入ったから、仕方なく寝る。
まるで休日の意味がない。
今ではその仕事から退いたが、あの生活を一生続けていたらと思うとゾッとする。
全国の建設業の皆さん、本当にご苦労様です。
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小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。