【連続note小説】日向食堂 小日向真司75歳
本田が立ち上げた野球チームの少年たちが日向食堂にやってきた。
本田は現役を引退してからあまり運動をしていないのか、かなり恰幅がよくなっている。
予約していたとはいえ、食べ盛りの少年たちが20人あまり。
店の中は異様な雰囲気になった。
吾郎はフル回転で料理を作り続けた。
この日ばかりは真司も吾郎に加勢した。
「おまえらぁ、おれはこの店の料理を食べ続けてプロに入れたんだ。
しっかり食えよ!」
「ほんとですかぁ、食べまーす。
おかわり下さ〜い」
少年たちはそれぞれに料理の追加注文をした。
"本田のやつ、余計なことを言いやがる"
真司は本田に了解のアイコンタクトを送った。
吾郎は忙しくしていたが、美味そうに料理を食べる子供達を垣間見てご満悦だった。
少年たちの中に、痩せ細った子が何人かいた。
真司はそれを見ただけで理由がわかった。
本田が貧しくて野球をできない子たちも面倒をみていることを・・・。
本田は自分なりに新しい夢を見つけて頑張っていることを・・・。
だから真司は丹精込めて料理を作り続けた。
本田のように、困難に打ち勝って、夢を叶えるんだと願いながら。
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<続く…>
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