【連続note小説】日向食堂 小日向真司40歳
真司はいつの間にか常連客から「オヤジさん」と呼ばれるようになっていた。
昼時は会社員や工場の従業員、夕方ごろは部活帰りの高校生、夜は近所に住む家族や仕事帰りのサラリーマン・・・。
皆、真司のことをオヤジさんと呼んで慕うようになっていた。
日向食堂は居酒屋で出すようなメニューはなかったが、サラリーマンたちがビールを一杯引っ掛けて帰ることが多かった。
真司は酔った若いサラリーマンたちの話し相手をよくしてやった。
「親父さん、ビールをもう一本」
よく見かける仕事帰りの若いサラリーマン風の男性だった。
真司:「今日はよく飲むねぇ」
若い客:「はい、今日初めてボーナスをもらいました」
真司「そうかい、自分へのご褒美ってやつだな」
若い客:「はい、でも実家の両親に何か送りたいのですが、オヤジさんなら何がうれしいですか」
真司:「そうだなぁ、ビール一本でいいよ。君が今美味そうに飲んでるやつ」
若い客:「これですか?」
真司:「会社から帰ってきて、ビールを飲むお父さんの気持ちがわかるようになったって言ってあげたら一番喜ぶよ」
<続く…>
<前回のお話はこちら>
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