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定年退職はただの降格人事?

あと半年で定年退職を迎える。

ある日、部下と話していて言われた一言がある。

「定年したら、ぼくの言うことを聞いて雑用をしてくださいね」

ぼくは耳を疑った。

冗談で言ったのだろうが、彼の心に秘めている気持ちが透けて見えた。

定年退職はただの降格人事・・・。

サラリーマンとして長年よく勤め上げてくれました、今までお疲れ様でした、という観念は彼の心の中に微塵もない。

ぼくが若かった頃のことを思い出してみる。

確かに定年退職していく上司を冷めた目で見ていた。

"たいした社会貢献もしていないくせに、大金もらって現役引退ですかぁ、お気楽なもんですねぇ"

はっきり言ってそんなことを思っていた。

いざぼくがその立場になってしまったが、過去の先輩たちのことを偉そうに言えたもんじゃない。

と言うか、部下たちからぼくのことを、ぼくが若い頃に持っていた感情で見られている。

悲しいかなこれが現実だ。

たいした社会貢献もしていない・・・。

確かに偉業と呼べるようなことは何もしていない。

普通に仕事をして、普通にサラリーをもらって、普通に時間が流れた。

そんな人間がもう社会から必要とされなくなるのだから、降格みたいなものだな。

若い頃に先輩たちをバカにしていたが、情けないことに自分も同じ運命を歩んでいる。

先輩たちに謝らなければならない。

降格後は嘱託となって役職は剥奪される。

さぁ、それからどう会社で過ごしていこうか。

初心に戻って雑用をするのも悪くない。

それにはプライドが邪魔をしそうだが、徐々に慣れていけるだろう。

そうすれば新しい自分が見つけられるかもしれない。

やっぱり生きていくってのはたいへんだなぁ。


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鈴々堂/rinrin_dou@昭真
小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。