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mit_hikari7276
【連続note小説】日向食堂 小日向真司66歳
母も妻も今は小さな墓の中にいる。
真司は毎月一回の墓参りを欠かさない。
幸いにも自転車で行ける墓地に、小さな墓を買うことができた。
よくよく考えたら、母は働き詰めで小学校の卒業式にも来てもらえなかった。
思い出と呼べる記憶がない。
妻は安アパートの中で半生を終えた。
子供には恵まれたが、家族旅行の思い出なんて片手で数えられる。
何が悪かったんだろうか。
何をすればよかったのだろうか。
真司は墓の前で手を合わしながら、いつもそんなことを思ってしまった。
自分という人間がこの世に存在しなかったら、この二人はもう少し幸せな人生を歩めたかもしれない。
後悔とやるせなさが真司の心を埋め尽くす。
あおい:「またそんなこと言ってる。別に旅行なんて行きたいと思ったことないのに。幸せの意味ってちゃんとわかってるのかなあ」
文枝:「真司が一生懸命頑張るからみんな生きてこれたのよ。人並みに生きられるって、幸せなことなのよ」
真司:「そんなことわかってる。それでも・・・」
文枝・あおい:「いい加減にしなさい」
真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。
▼関連エピソードはこちら
<続く…>
<前回のお話はこちら>
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