夜中一時、突然の決壊
ワイヤレスイヤホンをケースごと落としてしまって、とんでもなく虚無感に襲われた。
なんであの時、別れ話の前にI beg you歌ったんだろう。そういう、考えても仕方ないことを考えてしまう。お前は桜が好きだったんじゃなかったのか。桜が好きならつまり私のことも好きだったと思うのだけど、そんなふうに思ってしまうだけやっぱり私は傲慢なんだろうか?
離さないで 暗くなるの、そばにいて
離さないで 見てないわ あいしてる
声変わりし切った、落ち着いたその声でそうやって歌い切って、ところどころ音程は合っていなかったのがまた曲の雰囲気に合っていて。私どこまでお前のこと信じていいのかわかんないよ。本当は、私じゃない誰かにデロデロに甘やかされたかったというところまでは見透かせていてじゃあそれは誰なんだろうというと、私でも大学の元カノでもなくて、やっぱりお母さんなんだろうなと思う。
もう私、どうしていいかわかんないよ。
どんどん死にたくなってしまう。お前が最後にかけた呪いはどうやって解けばいいの。夜職やるな、先生と付き合うな。その二つはどうやって解けばいいの。
ねぇ、愛ほど歪んだ呪いはないんでしょ?
じゃあその愛で解いてほしかったんだよね、血縁って名前の呪いを。剣持は相変わらずそこにいて、シワひとつなく画面にいて。でも見始めたあの時から確かに声は低くなっている。見た目と話し方だけ変わらずそこにいる。
こんなふうに泣いてる場合ではない、明日だって学校があって。私はともかく寝ないといけないのに、今は暗いところが怖い。せめてプリントだけでも埋めようと思ったのに涙が止まらなくてこのザマ。もうどうすればいいのかわかんない、助けてほしい。一人で泣くのは嫌なのにずっとこう、たまにこう。お前と再会する前もお前に振られる前もずっと一人で泣いてたんだよ。
それを知ってて可哀想って言ったの?
もう早く、早く、早く、早く
死にたい。
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