「キケンな女」を世の男性は回避しなければいけない
会社員をしていた頃、ビックリしちゃったことがあった。
会社の忘年会で、既婚男性の社員が、女性社員に無理矢理、唇を奪われてしまったのだ。
みんなが見ている前で、女性社員はその男性に無理矢理せまり、キスをした。
「あっ!」と見ていた人が声を上げて、そのあと女性社員はしらんぷり、男性社員は呆然とした。
その男性社員は既婚だけどイケメンで、仕事もできて、そのとき私の上司だった人。
女性社員は地方の支社の独身女性。
その飲み会が終わったら、女性は地方に帰ってもう次の忘年会まで会わないだろうけど、男性社員の方はみんなから、からかわれるから大変だ。
しかも小さいお子さんもいて、奥様もキツそうな美人で、万が一バレたら大変だし。
「あわわ〜。なんてもんを見ちまったんだ!」と慌てる新入社員の私。
すると私の隣にいた同じ会社の飲み友達でもある人が言った。
「やっぱり捕まったヤツがいたな」
「え?どういうこと!?」と言って私は彼を見た。
その友達は、クリエイティブ局の局長という偉い立場で、新人社員の私とは20くらい年が違ったが、なぜかウマがあって、仕事で一緒してから、何度か飲みにいく仲だった。
友達はバツイチ独身だったし、これまたイケメンで地位も高い。実は自分も彼女に狙われていたのだと言う。
「自分の中のレーダーがビンビンに、やばい女だと言っていたから、近寄らないようにして、君のとこに来ていたんだ」
「私は虫除けか」
そう言いつつ、なんで彼女がキケンだとわかったのか尋ねると、「視線」だと言う。
彼女はねっとりとした視線で、その視線を見ただけで、友達は「こいつはやばい!」と分かり、おそれを感じて逃げ出したと言う。
「独身同士なんだし、あの女の人キレイなんだから、好きにさせたらよかったのに」
私がそんなことを言うと、友達はぶんぶんと首を振る。
「ダメだよ!なんでそんな面倒に巻き込まれなきゃいけないんだよ!関わり合いにならない方がいいやつだから、アレ!」
そう言って、友達はチワワみたいにブルブルしている。
これは私も、配慮が足りなかった。
男性だって、美人とはいえ、好きでもない女性にいきなりキスされたら、そりゃ怖いよね。
私だってイケメンでも、いきなりキスされたらイヤだし。
そして友達のキケンレーダーは正しかったのだと言える。
確かに、ほぼ初めて会うイケメンの同じ会社の人(既婚)に、いきなり無理矢理キスするような女は只者ではない。
「大作りな美人はキケンなんだね」と言うと、目も鼻も口もくっきりした美人をそう呼んだ私に、友達は爆笑した。
女性だけではなく、男性にも、「キケンレーダー」はどうやら必要らしい。
それがないと、厄介なことに巻き込まれてしまう。
女性にいきなり男性がキスしたら、セクハラで訴えられて大変なことになるので、男性で人前でそんなことをする人は滅多にいない。
だけど逆だと「あーあ」と言う生ぬるい視線で見られるだけで終わり、キスした女性はなんのお咎めもないので(みんなから怖がられるだけ)、男性の方がより、気をつけた方がいいのかもしれない。
月曜に出社したら、上司はやつれた顔で「あのことは見なかったことにしてくれ!」と私に懇願し、みんなにも言ってまわってた。
大変だな‥。
私の上司の男性社員は、自分は何にも悪いことはしてないのに、気持ちをすり減らされることになってしまった。
まさに災害に遭うようなもの!
「今度から大作りな美人には気をつけないといけないですよ」といったら、やっぱり「大作りな美人」と言う言葉のピッタリさに、爆笑していたけれども。
忘年会シーズン、そう言う顔の、ねっとりした視線のキケンな女には、男性はくれぐれも注意して下さいね!いきなりキスされちゃうから!
‥いや、あんまりないか。