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映画【Girl/ガール】少女の計り知れない葛藤と性別を超えた美しさ、
計り知れない葛藤への寄り添い方。
【Girl/ガール】
アカデミー賞《外国語映画賞》
ゴールデングローブ賞、カンヌ国際映画祭など
数多くの映画の祭典で評価された
美しきベルギー映画。
主演には今回が映画初出演となる
現役のバレエダンサー
ヴィクトール・ポルスター。
監督には長編初挑戦のベルギーの新鋭
ルーカス・ドン。
STORY:バレリーナを夢見るトランスジェンダーの少女・ララ(ヴィクトール・ポルスター)。ベレエの名門校で練習に奮闘しながら、自身のホルモン治療を続けるが効果をなかなか感じられなく焦る毎日。周りの人間からのセクシュアルに対する圧力、バレエの実力に悩みながらもララはひたすらに踊り続け…
◯主人公ララのひたむきな姿
トランスジェンダーとして生きるララは、
父親と小さな弟と暮らす真面目な少女。
進んで弟の世話をしたり、おしゃれをしたり
料理をしたり。
若くて、綺麗で、画面にうつる彼女は
まぎれもなく女性だ。
しかし、彼女は完璧な女性になるべく
父親と協力しながらホルモン治療に励み、
それでいて一流のバレリーナを目指して日々練習に打ち込む姿。
ララにとって二つの目標。
・完璧な女性になること
・バレリーナになること
ふたつの目標を同時に追いかけることは、とても難しいことだと思います。
このララの姿は、とても健気で
トランスジェンダーというひとつの大きな苦悩を抱えているのにも関わらず目標に向かって突き進むララの芯はとても強くて、私たちも見習わなければいけない姿勢でした。
◯圧巻のバレエシーン
ララを演じたヴィクトール・ポルスター君は現役のバレエダンサーということもあり、劇中のバレエシーンは息をのむほどに圧巻の迫力。
性別を超えたヴィクトール君の中性的な美しさから放たれるダンスというのは、女性的なしなやかさと男性的な迫力を持ち合わせた美しさがある。
緊迫感と可憐さが合わさったピアノが流れ、
ララは息をあげながらひたすらに、足先に血をにじませながらも踊り続けるダンスシーンはまさに圧巻!
バレエをあまり見たことがない人でもきっと、見入るはず。
ほんとうに、美しい踊りだった。
◯"トランスジェンダー"への理解
この世界は、
まだまだセクシュアルへ悩みを抱えている人間への理解や受け入れ体制が十分ではないと思います。
最近でこそ、[LGBTQ]への関心が各方面から高まってきたものの、周囲の大きな受け入れにはまだ、程遠いように感じるのです。
彼らが抱えている自身のセクシュアルにたいして、そうでない人間が完全に心情や辛さを理解するというのは難しいことです。
この映画で描かれている主人公・ララは、
トランスジェンダー。(心の性と身体の性が一致しない「性同一性障害」)
彼女は、ホルモン治療を受けながら
少しでも早く身も心も完璧な女性になりたいと願っています。
しかし、なかなか効果が目に見えてこない治療への不安や
周囲からの自分の見られ方。
常に周りの目を気にして生きていかなければいけないララの自身を押さえ込んでしまう気持ちや、胸を張ってなかなか前に出られない姿というのは、「一般的」が「正義」だと思い込んでいる私たち世間のせいなのではないかと。
自身の性が心と身体で一致していないというのは、人生の自由が半分ほど奪われているのではないかと感じるのです。
彼らの葛藤や苦悩というのはシスジェンダーであり、ヘテロセクシャルである人間にとっては計り知れないもの。
この映画ではこの計り知れないトランスジェンダーの女性としての葛藤を観る人に理解させ、少しでも寄り添わせるように教えてくれているのです。
この映画は、今一度同じ人間であるLGBTQの方たちへの理解を深め、心へ寄り添える社会をひとりひとりがつくらねばならないのだということを伝えてくれました。
そしてダンサーとしての、
夢を追う難しさと素晴らしさも。
とても美しい映画だった。
衝撃のラストをお見逃しなく…
(ネタバレになるのでひかえます。)
まだ公開中なので是非。
では