マスクをつけて美術館に行くこと
アート作品を見る時、嗅覚はとても大切だったんだ。
と感じたのでそれについて。
今日、東京都現代美術館に行って二つの展示を観てきた。
・ライゾマティクス_マルティプレックス
・マーク・マンダースの不在
コロナ禍で以前より美術館に行く頻度が減っていて、まあまあ久しぶりの美術館。
それぞれの展示の詳細は省くけれど、それぞれとても面白かった。
全く違うメディアを使いながらも、両方に「言葉を超えた世界」を感じた。
「マーク・マンダースの不在」から先に観たのだけれど、こちらは主に彫刻を用いたインスタレーションで作られている。
物質感の強い作品がいくつもあった。
観始めてすぐに、
「これ、どんな匂いの作品なのかな」
とふと思った。
でも、そういえばマスクをしてるから全然匂いを感じられないのか!と気付いて残念な気持ちになった。
作品自体の匂いだけでは無い。
私は今日、美術館の匂いも嗅いでいない…!
美術館にもそれぞれの匂いがある。
特に、展示室に入った瞬間にそれを強く感じる。
ペンキのような、木のような、ちょっとスンっつとした匂い。
場所や展示内容によって、それは幾通りにも異なる。
美術館に来た時は、いつもその匂いを嗅いで、
「美術館来たぞー」とか「どんな展示なのかな、楽しみだ」
と、ワクワクしたり、少し背筋が伸びる気持ちになっていた。
けれど、コロナ禍の美術館ではそれを感じられないのだ。
美術館自体の匂いもだけれど、作品の匂いを感じられないことはやっぱり残念。
「マーク・マンダースの不在」の作品達は、一体どんな匂いだったんだろう。
今まであまり意識したことは無かった。
けれど、作品は「観る」だけでなく、「五感を使って感じる」ことなんだなと、身をもって感じた。
嗅覚が使えないと、作品に対する感覚がこんなにもぼんやりするかと驚く。
何だか、薄い膜越しに作品を観ているような感覚だった。
その後に観た、ライゾマティクス_マルティプレックスでも、同じことを感じた。
溢れるような映像と音。
視覚や聴覚が、今までに無いような形で刺激されていく。
それでも、やっぱりこの会場の匂いを嗅ぎながら、作品を感じたいなと思った。
アート作品だけでは無く、例えば舞台だってそうだ。
劇場やシアターには、本当にそれぞれ特有の匂いがあって、それを嗅いで「ああ、来たなあ(ワクワク)」と思う。
(私はTDCホールによく行くのだけれど、TDCの匂いを嗅ぐたびに「来たなあ…!!」感で割といつも胸が高鳴る。
そう思うと、アートや舞台以外でも、何かに接する時はいつでも「嗅覚」は大切なんだなあと改めて思う。
場所でも人でも何でも。
嗅覚を思う存分使って、また作品や美術館を楽しめるようになる日が待ち遠しい。
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