女優になれない元主演女優
義母の担当ケアマネさんがらよく言われること。
「rinoさん、もっと女優になりましょう」
義母に毎日振り回される私に対するアドバイスは、どれも的確であたたかい。
でもこの「女優」に関しては、ちょっと受け入れられない私が居る。
きっと私にとって女優というワードは、キラキラした感覚や甘酸っぱく時にダークな時間を思い出すから。
実は私、就職するまで学生時代の部活は演劇部一筋だった人。
卒業する時、苦楽を共にした後輩達が贈ってくれた盾には「主演女優賞」の文字があった。なんてステキなセンスの後輩達だったんだろう。今更ながら、ありがとうみんな。
笑っちゃうくらい楽しくて、悩みなんて「彼氏が出来ない」くらいのライトで他愛もない薄っぺらな時代が蘇る。
だから女優というワードは、義母をいい気分にさせるためになんて使いたくないんだと思う。
義母は若い頃から料理はほとんどせず、私が嫁いで来るまでは近くに住んでた夫のばあちゃんに家事も頼りっぱなしだった人。
夫はばあちゃんのちょっとしょっぱい手料理とスーパーの惣菜で育ったし、子ども達もいわゆる「おばあちゃんの味」を知らない。
だからなのか、義母も夫も妙に味へのこだわりが強く、好き嫌いも多い。
私の料理に対するダメ出しは26年間ずーっと続いている。
約10年前から義母は人工透析が必要な体となり、塩分や水分の制限、栄養素に関しても神経を尖らせなければならない状況となっているのにも関わらず、相変わらず食への我儘は酷い。
加えて現在「歯が痛い」と歯科通いもあるため、気に入らないおかずに対しては「こんな固いもの食べさせるのか!」(決して固くはない)とキレられる。
もう、台所へ立つのも嫌になるレベル。
ケアマネさんいわく、そんな時は
「これ、お義母さんの分だけ良いお肉にしましたー」とか「お義母さんのためにだしを変えてみたんですよー」とか、とにかく女優になれと言うのである。
若干認知も始まってるのこともあり、子どもにかえって我儘になってるのであろう、と。
いやいやいや。
我儘なのは昔からですw
病気になる前から、気に入らないメニューには一切箸をつけない人ですから。
食に関してだけではない。
例えば下着を買ってきて欲しいと頼まれ、だいたい希望通りのものを買って来ても、素材がちょっとアレだとか、色や柄がちょっとアレだとか、いちゃもんオンパレード。
だったらネットとかで写真見ながら買ったらいいよと勧めたけど「私やり方分からない」…結局私の仕事が増えただけだった。
疲れ果てた元主演女優wの闘いは、どこまで続くのだろう。。。
いつの日か自由の身になったら(これ言うと大抵の人から不謹慎だと怒られるのだけど、介護者にとっては正直な思い)またたくさん大好きな舞台観にいきたいなぁ。