空気を読まずにベルを押す
はじめに
私には発達障害があり、このお話は発達障害の特性に「場の空気を読むのが難しい」という一面があることを前提とします。
すべての発達障害者が場の空気を読めないわけではありません。また、私は（健常者と同じやり方で、意識せず）空気を読むことはできませんが、その場にいる権力者のご機嫌を察知することはできます。
道路に人が寝ている日常
私の生まれ育った地域には路上生活者が多くいらっしゃいます。
高度経済成長期に地方から東京に来て、土木系肉体労働者として働き、体を壊して、もしくはバブルの終わりとともに仕事を失い、ホワイトカラーへの転職もできず、生活保護制度を申請するための知識も享受する機会がなく、そうなってしまった人が本当に多い地域です。
今はだいぶ減りましたが、私の小さい頃は酒を飲んで寝ているのか死んでいるのかわからない人がよく道路に転がっていました。
それは日常風景だったので、小さい頃は見かけてもそのまま通り過ぎていました。
それが「居場所がないからそこにたたずんでいるだけ」なのか「具合が悪くてへたりこんでいるのか」をよくよく観察するようになったのは、自分自身がうつ状態と過労で動けなくなり、職も失い、いつ役立たずと言われて実家を追い出されるかわからないという恐怖に駆られてからのことだと思います。
なお、私は最終的に実家を出て、現在一人暮らしをしております。
ご興味おありでしたら、前回、前々回の記事をご参照くださいまし。
1.電車内で痴漢を止める
数年前、電車に乗っていた時のことです。
ガラガラの車内にもかかわらず男女がドア脇で密着して立っており、男性が女性をしきりにさわっています。
女性のほうは嫌そうな顔をしていました。
ので、席を立ち、男性の襟ぐりをつかんで低い声で「何してるんです？」と言ったら「すいませんすいません」と謝りだし、私が男性を問い詰めている間に女性はどこかに行きました。
私はそのまま次の駅のホームに男性を引きずり下ろし、ホームにいた人に駅員さんを呼んでもらい、さらに警察を呼んでもらいました。
問い詰めている時の「すいません」が舌足らずで、それ以外になにも言わないので「知的障害か言語障害があるのかな」とうっすら思っていました。
その男性と一緒に交番に行きましたが、おまわりさんに事情聴取された男性は一転「わかりません」の一点張りでした。私は「痴漢された本人の証言がないとどうにもならないんだよね～」と、なだめられて終了しました。
また、このエピソードをSNSで書いたとき、柔道を習っていたこと、男性が抵抗したため襟ぐりにプラスして袖も掴んで「暴れたら投げるよ」と言った旨も添えて書いたら、別の男性とおぼしきアカウントから「やりすぎでしょ」「知的障害があるんなら責任は問えないのでは」、格闘技の心得のある男性アカウントから「格闘技をやる者が力をもって一般人を脅すとは道義にもとる云々」言われましたが、
じゃあどうしろってんだ、ガタイのいい男なら笑顔で「なにしてるのかな？」って言っても相手はやめるかもしれねえが、こちとら150センチ台前半の小太りBBAなんだよ、20センチもでかい相手にそれで通じるか
逆にガタイの良い男は優しく言ってるつもりで威圧になってることが多々あるのを自覚して動け
と思いました。
なお、男性か女性か判然としないアカウント、女性とおぼしきアカウントからは何もきませんでした。なんなら女性アカウントからはいいねがきました。
この時は軽く炎上し、ある人とのレスバの途中で「キチガイ」呼ばわりされましたが、私は正真正銘精神障害者手帳持ちなので、手帳写真アップしたらどんな顔するだろうと思ってました。ポリコレカードバトル後攻は嫌いなのでやりませんでした。
私は障害があろうとなかろうと、精神鑑定で責任能力が無いと言われない限りは、罪は罪であると考えています。
この件に関連して、痴漢された後、周囲の人に助けられた場合のお願いなのですが、どうか警察が事情聴取するまでその場にいてください。
また、この件があってからしばらくして「痴漢プレイ」なるものが世の中に存在することを漫画で知りました。
そういったことを好まれる各位におかれましては、人が全くいないところで行うか、ばれない、あるいは見とがめらても、もう片方がちゃんとプレイですと言える関係を築いておいてください。お願いします。
2.車内で倒れている人に声かけ
こちらはつい最近の話です。
電車のシートに横たわったまま動かず、シートに微量の吐しゃ物がこぼれている方がいらっしゃいました。
隣に座って顔色を観察すると、クーラーは普通に効いている車内であるのに、顔が赤い。
酔っぱらって寝ているだけかなとも思いましたが、熱中症の症状が出て、電車内で座ったとたんに気が抜けて倒れたかもしれないと思いましたので、肩を軽く叩いて「大丈夫ですか？」とお声がけしました。
しばらくすると目を覚まし、ふらふらしながら降りていきました。
どうやら私以外の乗客は、気にしながらも声掛けをためらっていたようで、お声がけしてよかったです。そのまま駅の事務室とかに行っていてほしいと思います。
終わりに
AED美人局や、痴漢冤罪がこの世にあることは知っています。
よかれと思ってやったことが、余計なお世話になることがあるというのも知っています。よおく知っています。
過去にありました。それは個別に反省しています。
けれど、例えば、電車で焦げ臭い匂いがして煙が流れてきても、周囲の様子をうかがったり、スマホで情報収集するだけで、誰かが動くまで誰も動かない。それでは、電車で本当に火災が発生していた時に、みんな死んでしまいます。
私はそういうとき、きっと非常ベルをためらわず押し、次の駅にいる駅員さんに連絡を取ります。
勘違いだったら、その時は迂闊な臆病者と笑われれば良い。
そういう動きをするために私はいるのかなあと、そんな風に思います。
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