読書感想文:傍聞き、陽だまりの偽り/長岡弘樹
ネタバレはしませんが、具体的に感想を書きますので、知りたくない方はご遠慮ください。
最近、フォロワーさんからおすすめしていただいた作家さんの本を読む、という一人企画をしています♡その読書感想文を書く一人企画をしますね。
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今日は、長岡弘樹さん。おすすめしてくださったのは寝癖さん。
傍聞き/長岡弘樹
読了。
おもしろかった。ミステリー短編集なのだけれど、ミステリーであり人情小説であり仕事小説であり……ひとことでは言えない感じ。ミステリー特有の衒学的なところは全然なくて、むしろ読みやすい。
帯にも書いてあるんだけれど、本当に全てが伏線。でも、すごく自然だから、お、これは伏線だな!とは全然ならない。でも回収されると、なるほど、ここで来たか!となる。これはすごい。あと、登場人物たちがとても人間らしい。良くも悪くもとても人間らしい。でも、そこもわざとらしくなくて、「ほら!こんなのが人情味があって良いでしょ!」感がまったくない。本当に、こんな小説が書けたらどんなに素晴らしいか、と唸る。
あと、専門的な仕事をしてる主人公が多くて、これは相当調べたり取材したりしてるんだろうな……と思ったら、なんと取材は全然しなくて、ほとんど想像なんだとか!(あとがきより)真実を調べて書くより、嘘でもいかに真実らしく書くことのほうが小説としては大切、だそうです……すごい。
私は「迷い箱」が一番良かったなぁ。切なかったぁ。
陽だまりの偽り/長岡弘樹
読了。
こちらも、「傍聞き」同様、ミステリーだけれど、人情小説であり家族小説であり……といった感じ。家族の微妙な関係性とか、仕事の昇進争いとか、人間関係の軋轢の中でふと自分や大切な人を見つめ直すような、そんな小説。読後感は「傍聞き」のほうが爽やかかもしれないけれど、こちらも負けず劣らず、人間らしい。そこが読みどころ。
個人的には表題作「陽だまりの偽り」がとても良かった。
これがデビュー作かぁ……と思うと、作家デビューというのがいかにハードルが高いか、見せつけられる感じ。やっぱりプロになるにはここまで書けなければならない。ちょっと無理だな……と思わされる小説。
ミステリーというと、本格のフーダニットを好むタイプでしたが、こういう人情小説のようなミステリーもおもしろいなと思わせてくれる作家さんでした。ご紹介ありがとうございます!
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