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カナダで保育:何でも「OK」作戦

子ども達から何かを要求された時に、その場ですぐに答える事が出来れば良いのですが、毎回そんな事にはなりません。

何かをしている途中だったり、保育園では他の子の事をしていたりとすぐに対応できない事もあるし、その内容自体が受け入れられない事もあります。

してはいけない事の時もあるし、子どもの事を考えて自分でして欲しいと思う事だったりするかもしれません。


子ども達が大人に何かを要求するのは理由があります。


自分では出来ないからと助けが必要な時もあるし、自分にかまって欲しくて言っている時もあるし、単純に自分でするのが面倒だからかもしれない。


自分達の何かしらの願い(目的)を叶えてもらう為に要求をするわけです。


私は自分を含め4人の保育士で毎日一緒に働いています。

彼女達とは経験も年齢も国籍もバラバラだけれど、だからこそバランスが取れたチームとして働けていると思います。

そして私たちはそれぞれ違うアプローチの仕方で子ども達に接していますが、基本的なゴール、終着点は同じです。

そして先日一緒に受けたワークショップの話が話題になりました。

そのワークショップでは「子どもの行動の理由を知る」というもので、かなりアドラー心理学と重なる所がありました。

例として挙げられたのは「子どもが自分で履ける靴を履かずにやって、と要求してくるときの子どもの目的は何か」というもの。

その答えのカテゴリーとして挙がっていたのが
「Sensory」「Attention」「Escape」「Tangible」の4つ。

アドラー心理学では
「Attention」「Power」「Revenge」「Give-up」の4つに分類されるので、言葉は違えど内容に似ている場所は多々ありました。


そしてこの靴に対してのシチュエーションでは、その前後でのシナリオによって変わるけれど、殆どの保育士が「Attention」を最初に挙げていました。

けれど、場合によっては「靴を履きたくない」「履き心地が嫌だ」という理由で「Sensory」かもしれないし、靴を履いていく学校などに行きたくないという「Escape」かもしれない。

もしくは特定の靴しか履きたくないという事なら「Tangible」にも当てはまるかも、と結局結果は出ませんでした。

けれどこのワークショップの目的は一つの正解を出す事ではなく、その目的を理解する事で対応の仕方を変える事が出来る、という話です。

この靴を履く履かないシチュエーションは保育園でもしょっちゅう起こります。

そしてクラスの保育士同士でどの様に普段対応しているか、という事が話題になったんです。

保育士によって「自分で履くまで待つ」「片方を手伝って片方を自分でしてもらう」「時間がなければ履かせる」など様々でした。

その時々によって私自身を含めて対応も変わりますが、私は基本「何でも「OK」作戦」を実行しています。

子ども達にヘルプを頼まれた時に、自分が何かをしていても、例えば他の子どもの手伝いなどをしていたとしても、その要求をしてきた子どもにとにかく「OK」と最初に言うんです。

そしてもしそのタイミングですぐに出来ない時は「XX君のヘルプが終わったら手伝うね」とすぐに出来ない理由を伝えて待ってもらいます。

これが何気に効果的で、最初に「I can't help you right now, so please wait」と言って待たせるのと「OK, I will help you next」と言って待たせるのとだと、待たせる事は一緒なのですが、後者の方は肯定する事しか言っていないからか普通に待ってくれるのに、前者だとどんどん駄々が大きくなっていきます。

「I can't help you right now, so please wait」今すぐには手伝えないから待ってて、というのはこちらの要求です。

そして子どもは今すぐに手伝って欲しい。

この両者の要求をお互いに主張しているからか、余計に時間がかかったり、その場は騒がしくなったりします。

けれど子どもの手伝って欲しいという要求をすぐに受け入れ、例え行動がすぐに伴わなくても、子どもは「手伝ってくれるんだ」と安心して待ってくれているようです。

だから子どもが何かを要求してきた時は本当に出来ない事以外、単純に今出来ない、という事に対してはとりあえず肯定してからこれからどうするか、という事を伝えると、子どもも安心して待つことが出来るのではないでしょうか。

この対応は「Attention」もしくはアドラーの「Power」が目的だった場合にはかなり有効だと思うので、どんな要求に対してもとりあえず「OK」作戦、お試しあれ!


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