生後25年日記 29日目「粗品よ、イエスタデイのかくしごとを聞いてくれ」
※書き進めるうちに熱が入り、2500文字超えの長文になってしまいました。心してお読みください。
二日酔いの無念極まる僕の本日は、布団に伏臥し、胃袋を圧し潰しながら、いま観たいものをスマートフォンでただ観るだけの、いかんともし難い一日だった。
視聴したものは以下の4作品
①バラエティ番組『霜降り明星・粗品が今一番やりたい企画TV〜R-1ぐらんぷり2019優勝者特番〜』
②アニメ『かくしごと』
③アニメ『イエスタデイをうたって』
④アニメ『波よ、聞いてくれ』
これらについて簡単な感想(書き進めるうちに熱が入り、「簡単」ではなくなってしまったが)を述べたい。誰も望んでいないだろうが、こうしなければ紙幅を満たせないのだから仕方ない。私服を肥やしていないだけマシであろう。
【ネタバレ注意】霜降り明星・粗品が今一番やりたい企画TV〜R-1ぐらんぷり2019優勝者特番〜
昨年のR-1ぐらんぷりにて優勝を果たした霜降り明星・粗品が、自ら考案して制作されたバラエティ特番。
アマゾンプライムに配信されていたので遅ればせながら観た。
企画内容は『粗品のツッコミ辞典を作ろう!』
大阪のとある商店街の中で粗品がロケをする。
そのロケの中で店員や通行人にツッコミを入れていき、そのツッコミの頭文字で50音すべてを制覇して辞典を作ろう、というもの
企画内容はいたってシンプルだが、放送当時はかなり話題になったという。
なぜ騒がれたのかと言うと、端的に言えばこの番組が「ループもの」だったからだ。
バラエティ番組でループもの? 意味が分からないと思う。
粗品とアシスタントの女性アナウンサーは、普通のロケ番組のように、商店街の色々なお店を紹介していく。コロッケ屋、魚屋、音楽教室、靴屋。それぞれの店舗で小ボケが用意されていて、粗品も順調にツッコミを入れていく。
そして最後の整骨院でベッドに横になった粗品が顔に布をかけられると、映像はホワイトアウトし、次のカットで何故か番組冒頭の企画説明のシーンに逆戻りしているのだ。
そしてロケは先ほどと全く同じ展開をなぞり、最後の整骨院で顔に布をかけられると、またもや冒頭のシーンに戻っている。
この無限ループに違和感を覚え始めた粗品は、繰り返されるロケ撮影から脱却するために策を講じ始める……。
『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』や『涼宮ハルヒの憂鬱』のエンドレスエイト等で有名なループ構造を、バラエティ番組に持ってくるという構成に、アニメ・漫画オタクの粗品らしさを感じた。
こういう「枠組み」にギミックを仕掛けて視聴者を騙す作品って好きなんすよね私
ただ惜しむらくは仕掛け人たちの演技があまり上手ではなく、最初の5分程度で何らかの"作為"を感じてしまったことだろうか。
あと、粗品のツッコミだけでなく、商店街の人々の言動もループするごとにちょっとずつ変わっていったら面白かったかもしれない。音楽教室でのピアノの演奏曲が変わるとか、シナリオに影響がない範囲で。
かくしごと
『行け!!南国アイスホッケー部』『太陽の戦士ポカポカ』(粗品「チョイスミス!」)で有名な久米田康治先生原作のアニメ化作品
漫画家であることを娘に隠す下ネタ漫画家・後藤可久士と、その娘・姫との親子愛を描いたドタバタコメディ。
1話しか観ていないけど、絵柄が忠実に再現されているし、テンポも非常によくて、久米田作品の良さを一切殺していない、いいアニメ化だと思う。
主人公の声優が神谷浩史というニクいキャスティングもグー。
EDの「君は天然色」がカバーとかじゃなく大瀧詠一版のをそのまま使ってて驚いた。
何といっても姫ちゃんがいい子すぎて、それだけで泣きそうになる。家族愛に涙もろくなるお年頃。
イエスタデイをうたって
冬目景先生の同名漫画のアニメ化作品。
【あらすじ】
大学を卒業したものの職に就くことなく、フリーターとして特に目標もないまま過ごしているリクオ。そんなある日、カラスを連れた黒ずくめの少女・ハルが現れる。彼女の破天荒な振る舞いに戸惑う中、リクオはかつての想い人・榀子が東京に戻ってきたことを知る。
原作未読組だけど、1話見ただけでこれは傑作だと確信した。
新海誠なら『君の名は。』より『秒速5センチメートル』、ジブリなら『風の谷のナウシカ』より『おもひでぽろぽろ』『海がきこえる』を選ぶぐらい、ファンタジー要素を排したリアル志向の作品がすごく好きで、かつそこに恋愛要素が加わると自らの経験と重ね合わせてシンパシーを感じてしまうタイプなので、その趣味嗜好のど真ん中を勢いよく射抜かれてウッ、っと前のめりになった。
特にハルのセリフには、自分にも刺さるところがあり、はっとさせられた。
「嘘つきってさ、人に嫌われるけど人に好かれるんだよ。
嘘ついて、適当に他人に話合わせて、いい加減に生きて、傷つくのも傷つけるのも何もなくて、くだらないやつになって。
で、人といるのが面倒くさくなって。
嘘つきって、何もなくさないけど、何も手に入らないんだよね」
めぞん一刻やハチミツとクローバーを読んだ時もそうだったけど、女性の漫画家の作品にはよく心をえぐられるのよね。別に性別で区別してるわけじゃなく、あくまで統計として。
あと、主人公・リクオの声優を務める小林親弘さんの演技がものすごく自然体で、作品にすっと入り込めた。これほどまでにキャラクターと声優が一体化していると感じたのは、久しぶりかもしれない。
波よ聞いてくれ
キャラクターと声優の一体化といえば、この作品もそうだった。
【あらすじ】
札幌市のスープカレー屋で働く鼓田ミナレは、職場のラジオから自分の声が流れていることに気づく。その前日、ミナレは、偶然知り合った地元のラジオ局「MRS」のディレクター・麻藤兼嗣を相手に失恋について愚痴っていたが、その愚痴は麻藤によって密録されており、その音源がラジオで流されていたのだった。ミナレは放送を止めるためにMRSに乗り込み、麻藤と再会するが、逆に彼に言いくるめられ、ラジオでアドリブトークを披露することになる。
その後、ミナレは、深夜帯に冠番組を与えられ、ラジオパーソナリティとしての活動を開始する。
前々から原作を読んでいたが、その時に脳内に再生していた鼓田ミナレの声と、アニメで声優を務める杉山里穂さんの声が、もう生き写しかってぐらい同じでビックリした。これは嘘だけど鼓田ミナレが鼓田ミナレの声を演じてるのではと思ってしまうぐらいだった
正直『波よ聞いてくれ』はストーリーというより原作者・沙村広明氏のセリフ回しを楽しむ作品だと思っているので、アニメはそんなに心配していない。1話を見る限り、そのセリフ回しも忠実に再現されているので、面白さは保証されているようなものだと思う。
全体的に声優さんのすごさを再認識した一日だった