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春の日の餃子

餃子。

『餃子』ひとつ取っても、思い浮かぶのはひとつじゃない。
あの子との、あの日の、あの夜の、あの季節の・・・。

今日残そうと思う『餃子』は、あの子が作ってくれたあの日の餃子。

私、結構寂しがりやで、今はマシになったとは思ってるけど恋愛依存な時期もあって。そんなまだまだお子ちゃまだった私が新社会人になった時のこと。
同い年の彼氏(正しくは元カレ。当時の私は、恥ずかしいくらい彼に縋って付き合い続けてたw)が警察官になる為に警察学校に入校して。警察学校では携帯が没収されるとのことで、それまで約2年毎日のルーティンだったメッセージのやりとりも、夜の通話も一気に無くなって。世の中はコロナ真っ只中で、緊急事態宣言も出たりして暗いモードで。私は私で入社式があって、仕事が始まって、新しい生活リズムの中で、新しい環境で、新しいことを覚えなくちゃいけなくて。大学生の頃には感じなかった"責任"とかも感じ始めて。

全部が違いすぎて、毎秒毎秒、息をするので精一杯だった。毎朝起きるので精一杯だった。仕事後の時間、いつもなら彼と電話していたはずの時間。自分1人でどう過ごすか、何をしたら時間が潰れるかを考えるので精一杯だった。

そんな私を理解して、私の寂しさを必死に埋めようとしてくれた親友。
彼氏の代わりに、頼んでもいないのに毎朝のモーニングコール。
「起きただけで偉いよ」と励ましのメッセージ。
仕事終わりの電話は私が寝付くまで。
私が休みの日は、1人になって寂しさを感じないように1日中テレビ電話。
すごいでしょ。

ある日言ってくれたんだ。
「次の休みは、うちに泊まりにおいで。夜ご飯作って待ってるから。
その日までお仕事頑張るんだよ。」




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