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‘すぺしゃる’の向こう側 (11)

愛を探しに出た ぼくとりゅう。旅の向こうに もっと大切なものが あった。本当の幸せを手に入れる方法を 見つけた ぼくの冒険物語。

11)旅立ちの朝
旅立ちの日、サーカスのみんなが、見送ってくれた。団長さんは、
「とても残念だ。」
と言った。ダンスのおねえさんは、
「元気でね。」
と泣いてくれた。玉乗りのおじさんは、
「途中で食べな。」
と、いろいろな食べ物を、ぼくのリュックサックに入れてくれた。

リュックは、ずっしりと、重たくなった。フォンダは、何もいわず、ぼくをぎゅっと、抱きしめてくれた。長く、強く、抱きしめてくれた。涙がでてきた。ぼくは、
「ありがとう。」
と言うのが、精一杯だった。

ぼくは、りゅうの背中に乗った。りゅうは、羽をばたばたさせて、足で、地面を蹴って、空に飛び立った。りゅうは、
「きゅるるるるん」
ちょっと、小さい声で、鼻歌を歌っていた。

ぼくは、悲しい気持ちと、わくわくする気持ちで、りゅうの首を、ぎゅうっと抱きしめた。

つづく…

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