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木の幹のように分かつ選択

スタバを出ると、サーっという木の葉同士が擦れる音がした。本来なら暑すぎる夏の気温も、ほのかな風と緑の音で心地がいい。
一体いつからわたしのキャリアは枝分かれしたんだろう。心のどこかで望んでいたけれど、今は思い出せない願い…。ただ前に向かって歩くだけのことが、この上なく難しく感じた。ようやくたどり着いた、たった数メートル先の木陰下のベンチに腰を下ろしてみる。

わたしに安らぎをくれている主を見た。隣にそびえる木。よく見ると、真ん中の太い幹から、新しい太い枝が生えて、そこから小枝が繋がっていく。最初に私の細胞に響いた枝葉の音たちは、その幹に支えられているほんの一部なんだなと。

そう気づいたら、なんだか心がふーと軽くなった。きっとこの幹も、がんばってがんばって太くなって自然のどんな苦難にも耐えられる自分になろうとしていたんだろうなって。がんばってがんばって、これ以上太くなっても一本だけでは支えきれなくなったとき、右手を生やし、首を伸ばし、いろんな知恵を駆使して「いまの自分」を造ったのだろう。

尊いなぁって思った。誰だって一生懸命なんだ。だから、罪を憎んでもいいけれど、人を憎んではいけない。一部を見て、全部を否定してはいけない。いま、ここに在ることがすごい奇跡なんだと思えた。

だから、わたしは私の命にも正直に生きる。ありがとう、命。

キャリコンを勉強してきて、最近よく思い出す理論がある。
「キャリアアンカー」
それぞれが大事にしているもの、価値観の根っこを重視する考え方。個人のキャリアを安定させる軸になるもので、これを開発することで自分らしい人生・キャリアの歩み方を発展させることができる。

わたしはキャリアアンカー開発のために、何度も転職して、自分の人生を充実させるために今ここにいるんだ。そうだ、誰に気を遣う必要もない。自分を必要としてくれて、その結果わたしの命が喜ぶ仕事に出逢うまで、全部が試行錯誤とほんの少しの暇つぶしなんだ。

あのとき、転職を決意して本当によかった。わたしはわたしを誇りに思う。せっかくならもっとありのまま、わたしという自然の一部のまま、もっともっともがき楽しみたいな。

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