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本を愛するすべての人へ 緑川聖司『晴れた日は図書館へいこう』

 こんにちは、もしくはこんばんは。秋野凛花です。

 今日は、念願(?)の読書記録を書こうかと思います! 個人的に楽しみにしていて、なおかつ読書感想文を書くのが苦手なので、少し胃が痛いです……笑


 で、皆さんは本が好きですか?



 私は大好きです!!!!(大声)

 というわけでどうぞ!(?)


 今日のメインの本はこちら。

 緑川聖司『晴れた日は図書館へいこう』(ポプラ社、2013年)


 こちら、緑川聖司さんのデビュー作であり(第一回日本児童文学者協会長編児童文学新人賞佳作を受賞されました)、2003年に単行本として出版されました。

 小説家希望の者としては、デビュー作でこれか……すごいな……と額を手で抑えてしまいますが……。

 それは置いておいて。


あらすじ

 主人公の茅野しおりは小学5年生。そんな彼女の日課は、憧れの従姉妹、美弥子さんが司書をしている、雲峰市立図書館へ通うこと。
 そこでは日々、本にまつわるちょっと不思議な事件が起こる。


 ……という感じです。ジャンルとしてはミステリーなのですが、ミステリーはミステリーでも、"日常のミステリー"に分類されます。

 というのも、この本では殺人が起きませんし、物騒なことも滅多に起きませんし、何より探偵がいません。

 じゃあ何故これは"ミステリー"なのか? それはこの先の項でお話しましょう。



魅力的なキャラクター

 この作品は基本的に、主人公であるしおり、そして美人の従姉妹、美弥子さんの二人が中心に進んでいきます。

(もちろん他にも、しおりのクラスメートの安川くんや、小説家の関根さんなど、様々な方がいるのですが、今回は二人のみ)

・美弥子さん
 何となくしおりちゃんは最後に……笑
 美弥子さんの魅力は何と言っても、大人特有の包容力、決して"邪魔をしない"という点です。
 というのも美弥子さん、何か事件が起こり、しおりがそれを何とかしたい! と思っても、決して邪魔はしません。手も出しません。そもそも何かが起きたとき、美弥子さんはいない、というケースがほとんどです。もしくは、事件を美弥子さんから聞く、というケース。
 美弥子さんはいわば、"探偵助手"という立場なのかな、と思います(助手、というほど仰々しいものでもないのですが、言葉がこれしか浮かばず……笑)。
 時にはしおりに情報を与え、しおりを保護者として見守り、しおりを支える、そんな存在です。
 やはり今作に、美弥子さんは必要不可欠なのだな、と思います。

・茅野しおり
 とにかく本が好きな、小学5年生です。1巻の時点で、5年生になったばかり。今思うと……若い……笑
 この子、とにかく本が大好きなんです。決して目立ちたがり屋でも無いし、自信家でもありませんが、作中でも本のために、恐ろしいほどの勇気、パワーを出します。それくらい本が大好きなんです。
 それが本当によくわかり、ここを読んで赤べこのように頷いてしまったシーンがありますので、少し引用させてください。

(中略)
 だから、たくさんの本が並んでいる図書館は、わたしにとっては新しい世界への無数の扉だった。
 読みたい本は、たくさんある。その上、わたしが一冊の本を読んでいる間にも、世界中でたくさんの人が、わたしたちのために新しい本を書いてくれているのだ。雨の日だけじゃ、とても読みきれない。
 だから、わたしは声を大にしていいたい。
 晴れた日は、図書館へいこう!

『晴れた日は図書館へいこう』
プロローグより

 引用先を見てもらえばわかる通り、プロローグに書かれた言葉です。見事に題名を回収しています。そしてこれを読んで私は、この本を読むことを決めました。
 「天気がいいんだから、外で遊びなさい」。そう言う大人に、しおりは見事に言い返してしまうのです。
 友達思いで、決して社交的なタイプでも無いし、目立ちたがり屋でも無いけど、本が大好き。これを読んでいる貴方なら、きっと彼女に感情移入しやすいのではないでしょうか?

 あとは個人的に、「読書感想文を書くのが苦手だ」と言うしおりにすごく共感しています……笑


本作の魅力

 何と言っても、しおりと美弥子さんのコンビですね。昔から一緒にいるんだろうな、という仲の良さ。本当にしおりにとって美弥子さんは憧れの存在なのだな、という親密さが会話の節々から伝わってきます。

 さて、美弥子さんの紹介で、"探偵助手"という立場なのかな、と書きましたが、正確に言うとそれは間違いです。だってそうでしょう。探偵がいないのだから。

 「しおりちゃんが探偵なんじゃないの?」と思うかもしれませんが、しおりは決して探偵ではありません。だって彼女は普通の本が好きな小学5年生。事件を解決する能力なんてありません。あるのは、想像力と人を大切にする気持ち、そして何より、本への愛。

 それが不思議と、ちょっと変わった事件を解決へと導いてくれます。

 "ミステリー"と言うにはあまりにも仰々しい。だからこの作品には、"日常のミステリー"という言葉が似合うのです。

 探偵もいないし、物騒なことも起こらない。起こるのは、現実で起こりそうで起こらない、そんな不思議な出来事。本と図書館を愛するすべての人に贈る、とっておきの"日常の謎"なんです。



最後に

 この作品を小学生の時に初めて読んで、それで私の人生は、この本を読むためにあったんだ。そして私は、小説家になるんだ。そうわかりました(まあ詰まるところ、そこで将来の夢が決まった、というわけです笑)。

 2巻、『晴れた日は図書館へいこう ここから始まる物語』、そして最新刊、『晴れた日は図書館へいこう 夢のかたち』も、ぜひ合わせて読んでください。

『晴れた日は図書館へいこう ここから始まる物語』

『晴れた日は図書館へいこう 夢のかたち』


 それでは最後に、作中にある私の好きな言葉を引用して、記念すべき(?)初回、読書記録を終わりにしたいと思います!

『言葉はわたしたちの、剣であり、盾であり、食事であり、恋人である。
 言葉は時に、剣を防ぎ、盾を壊し、食事を隠し、恋人を奪う。
 あなたが言葉の海に漕ぎ出す時には、言葉は船にもなるだろう。
 あなたが言葉の空に飛び出す時には、言葉は羽にもなるだろう。
 そして、いつかあなたが新しい世界に旅立つなら、
 言葉の川を言葉の橋で渡り、
 言葉でつくられた扉を、言葉の鍵で開けるだろう。』

『晴れた日は図書館へいこう』
第五話「エピローグはプロローグ」より


 ありがとうございました! 次も読んでくだされば幸いです!

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