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Vol.5.32 卵焼きの完成度でメンタル具合が如実に現れる説
卵焼き はじめに
我が家ではお弁当に必ずと言っていいほど入っていたおかずである。
お弁当箱を開くと真っ先に目が入る輝かしい黄金色がお腹を空かせた育ち盛りの食欲をさらにそそらせる。
見栄えだけではなく、栄養面でも頼りになる完璧なおかず。
それが卵焼きである。
さらに卵焼きは塩味、砂糖醤油味、おかかや刻みネギと家庭の数と比例して味付けのバリエーションが豊かだ。
場合によっては「ウチの卵焼き天下一決定戦」が勃発すると言っても過言ではない。
時に希望の光とも争いの火種ともなる表裏一体の顔を見せる卵焼き。
私も作り始めたのは高校生辺りからだったように記憶している。
自分で作ってみて思ったことは、卵焼きは予想以上に難しかった。
母が卵焼きを作る工程を頭の中でマネをしているつもりでも、母が作る卵焼きのような綺麗な四角ができなかった。
半熟とはいえ、最初の薄焼き卵を菜箸で畳むことも難しかったのでフライ返しを使っていた。
フライ返しである程度慣れてきたら、菜箸に持ち替えて火加減を調節しながら卵を巻いていく。
油が少なくて卵焼きに卵が張り付いたり、焼きすぎたり、ラジバンダリ…。
そんなミスを繰り返し繰り返して、ようやく自分の納得のいく卵焼きが完成する。
卵焼き 本題
そんな奥深い卵焼きを私はこれほど完成度によってメンタルの具合が如実に現れる料理はないと思っている。
私が卵焼きを作る工程は主に以下の通りである。
①卵を割り調味料を加えて混ぜ合わせる
②卵焼き機に火をかけて油を敷く
③薄焼き卵を作る量量で少量ずつ溶き卵を投入
④卵に一通り火が通れば4つ折りを目安に卵を畳んでいく
⑤畳んだ卵を卵焼き機の脇に寄せて③の工程を複数繰り返す
例えば、体調的にもメンタル的にも疲れているとき卵焼きが食べたくなって作るとする。
ところが普段よりも正常な思考ではないので、当たり前にできていたことが不安になったりする。
醤油入れ過ぎたかな?
卵って何回に分けて入れるんだっけ?
「頭で覚えていなくても、手が覚えている」
そんな言葉は都市伝説なんじゃないかと思うぐらい、頭どころか手もあたふたして、そばにあった使っていない菜箸や調味料が手に当たって床やシンクにバラバラと落ちていく。
要領の悪い自分の手際を見ては自己嫌悪。
なんとか冷静さを取り戻そうとしても時すでに遅し。
気づいた頃には、スクランブルエッグと似ても似つかないぐちゃぐちゃな卵焼きが出来上がっている。
まるで今の自分の心を可視化したような卵焼きをみて、今の自分がいかに休息を取らねばならない状態か、卵焼きが教えてくれているようだった。
「何やってんだか」
焦るあまり周りが見えなくなっている自分にため息をついて、反省を込めて卵焼きを食す。
うん、味は良い。
物理的にお腹を満たせば自然と心も満たされる。
そんな単純な自分とご飯をお腹いっぱい食べられることに感謝をして、今の自分ができることをやろう。
ご馳走様でした。
卵焼き おわりに
卵焼きについて語った記事になりましたが、これはオムライスにも言えることだと思います。
料理をするようになってある程度馴れてはきても、ライスを卵で包むあのやり方がどうも苦手でいつもぐちゃぐちゃになってしまいます。
最近はライスの上に卵を乗せるといったバリエーションが豊富になったオムライスですが、私はライスを卵で包む「ポムの樹」のようなオムライスを作れるようになりたいと思っては失敗する日々を送っています。
なので、オムライスを綺麗に作れる人を心の底から尊敬していることを結びにこの記事を終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました😊