📖読書記録📖『あしながおじさん』
読書紹介記事を書く青沼りんです📗
今回は、孤児院で育った少女がある紳士と出会ったことで大きく運命が変わった不朽の名作をご紹介したいと思います。
●今回ご紹介する本『あしながおじさん』
ジーン=ウェブスター
曾野綾子•訳
中条春野•絵
講談社 青い鳥文庫
1989年12月10日 第1刷発行
孤児院育ちのジェルーシャ=アボットは、18歳の年長者という事で孤児院に暮らす97人の子どもたちの面倒を見ていました。
そんな中、孤児院院長のリペット先生からジェルーシャが書いた作文を読んだある紳士が彼女の文才を見抜き、ゆくゆくは作家になれるように大学に入れたいとの申し込みを受けたと聞かされます。
大学費用と寄宿舎の費用、生活費、さらにはおこづかいまで払ってくれることに驚きを隠せないジェルーシャでしたが、それには条件がありました。
その条件とは、大学での勉強の進捗状況をそのお方宛に月に1度は手紙を書く事。
さらに、その紳士の要望で顔も名前年齢もジェルーシャには知らず、会いもしないし、こちらからの返信もしないというものでした。
不思議な要望と思いながらも、孤児院から出て新しい生活が始められることに喜びを噛み締めるジェルーシャ。
その紳士が孤児院に来た際に影だけを見ていたジェルーシャはその人影の足が長かったことから、「あしながおじさま」と呼ぶ事にして手紙を書き始めます。
最初は月に一度の手紙でしたが、あしながおじさまへ手紙を書くことが楽しくなってきたジェルーシャは月に何回も送るようになりました。
手紙の内容は勉強の進捗状況や大学での出来事、学べる幸せを与えてくれたあしながおじさまへの感謝を綴っていました。
勉学に励みながら作家になるために小説を書いたり、夏休みにはルームメイトを通じて、田舎で農作業や自然体験を満喫したり、新しく出会った人との交流を楽しむジェルーシャ。
しかし、彼女は大学から出会った人たちには自分が孤児院出身と打ち明けていませんでした。
手紙にはそんな悩みやちょっとした愚痴、あしながおじさまの素性を知ろうとしたり、とある場所に出かけることを反対されたことに対して文句を書いたりしながらも、ジェルーシャは4年間手紙を書き続けました。
恵まれた環境に身を置ける幸せに恐縮してしまうジェルーシャの気持ちもわかります。
あしながおじさまの学費を出してもらったりおこづかいまでくれるというご好意に対して、決して甘えず勉強も疎かにせずいらないものはいらないと突っぱねるジェルーシャはとても自立した女の子です。
ジェルーシャがあしながおじさまに宛てた手紙を綴った内容なので、まるで手紙を覗き込んでいるような気になる小説です。