📖読書記録📖『天使の柩』
読書紹介記事を書く青沼りんです📗
今回は、絶望的な日々を送る少女の元に舞い降りた奇跡の感動作をご紹介したいと思います。
●今回ご紹介する本『天使の柩』
心を病んだ父親と二人暮らしをする14歳の茉莉は、亡くなった祖母から人格否定されながら育ち、彼氏のタクヤからもぞんざいな扱いを受けていました。
学校にも居場所がない、そんな絶望的な日々を送る中で、公園で絵を描く男性の事が気になっていました。
ある日、公園で馴染みの猫が男の子たちにいじめられているのを目撃し、咄嗟に猫を助けたものの、収拾がつかない状況に戸惑う茉莉のところに大人の男性が間に入ってくれたことでことなきをえました。
その人は公園で絵を描いていたあの男性でした。
彼の名前は一本槍歩太。
怪我をした猫を動物病院へ連れて行ってくれ、怪我が治るまで歩太の家で療養することになりました。
猫が気になる茉莉は、歩太の家に通うようになります。
それから、歩太の友人という斉藤夏姫と古幡慎一とも知り合いこれまでに味わったことのない心穏やかな時間を過ごす茉莉でしたが、彼氏のタクヤに歩太の家に通っている事ことがバレてしまいます。
タクヤに脅されるかたちで再び暗い現実へと引き戻されしまいます。
徐々に要望がエスカレートするタクヤから離れたくても離れられない万事休すな茉莉のところに、再び歩太がやってきます。
一難去ったかと思ったら、またしてもどうしようもない現実が茉莉を脅かします。
『天使の卵』『天使の梯子』『ヘヴンリーブルー』『天使の柩』この4作はまとめて『天使シリーズ』と呼ばれています。
その『天使シリーズ』最新作となる本作は、「天使の卵」(以下、卵)から20年経ったお話しです。
ピンチな時に現れる歩太は茉莉にとってヒーローそのもの。
20歳年上の歩太を次第に憧れるようになる茉莉ですが、歩太は茉莉に対してまた違った意味の愛情を抱いていました。
これは「卵」を読んだ方ならわかるかもしれません。
本書の扉絵に書かれた『Farewell, Angel』。
「卵」から歩太を見守ってきましたが、この言葉は歩太の過去への別れを意味しているのかなと思いました。
救われたのは茉莉だけではなく、歩太も茉莉によって救われた。
だから、歩太は終盤で茉莉にあの提案をしたのでしょうね。
今この時があるから不幸続きだった過去にも感謝できると思える茉莉にもう涙が止まりません。
著者はバッドエンディングが多い印象でしたが、こんなにも希望が溢れたエンディングで本当に感動しました。