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3月9日、サクラサケ

2019年3月9日、午前9時。大学入試の合格発表の瞬間だ。

心臓のバクバクが止まらない。朝ご飯はしっかりと食べたけど、それ以降はずっとリビングでゴロゴロ。何も手につかなかった。

それでも8時55分になると、必死に体を起こし、机の上のPCに向かう。受験者本人の合否だけがわかる個別サイトを開き、必要な情報を全て入力する。次へ、を押す。

「サーバーが接続していません」。サイトが落ちたようだ。何回やってもダメ。家のPCだけではなく、家族3人のスマホからやってもダメ。2時間が経っていた。

「いけ!」「あはは、だめだ!」

きゅうりをポリポリ食べながら、謎のゲームに熱中していた。まもなく母が離脱した。昼食の準備をするためだ。

私と父との一騎討ち戦は、一向に勝負がつかない。そのまま3時間がたった。

大学からのお知らせだ。個別サイトのサーバーが復旧しないので、誰もが見れるサイト合格者の受験番号が掲示されることになったという。

そちらのサイトのリンクを慌ててアクセスする。開かぬ。なんなんだ、この大学は!それから30分後、友達がサイトにアクセス出来たらしい。

結局、その友達に写真を撮ってもらい、ラインで送ってもらった。

授業をサボったりしたくなるのに、
これを見るとやる気になれる。今でも嬉しい。

以上が、忘れもしない私のカオスな合格発表だった。

合格祝い

時が流れること4年。2023年2月25日、17時過ぎ。おそらく最後の科目の試験が終わった頃だろうか。キャンパスの最寄り駅では、どこか落ちつかない素振りを見せる、生協の青い鞄を持ったご婦人をたくさん目にした。

コロナ禍で、学祭に行くことが出来なかっただろう。高校生活もいろんなイベントがなくなってしまっただろう。大学がどういうところなのか、どういう雰囲気の学生が多いのか、なかなか分からなかっただろう。この先どうなるか分からない。

そんななか、よくぞ、ウチの大学を受けに来てくれた。そのことに対して、彼らの未来の先輩として、最大の賛辞を心から送りたい。

ああ、必死に書き殴ったラブレターに I love you, too!とお返事をもらってから、4年が経ったんだ。

入試3日前の22日、インスタのストーリーにあげていた。

当時は、大学生になっている自分が全くイメージできなかった。今となれば、他の大学の様子を見ても自分と一番合っている大学が、通っている学び舎だ。

入試、それは一見、学力試験なのかもしれない。だけど、そうじゃない。学力と同じくらいかそれ以上に、相性が見られている。他大の学生と関わる中で、確信したことだ。

本当は、受験生ひとりひとりに言葉を送りたい。私からの言葉なんて、別に嬉しくもないだろう。勝手に労わさせてくれ。

身バレ防止上、大学名を明かすことはできない。ただ、国公立を受けた全ての受験生に、心からお疲れ様と言いたい。


【自分の受験番号を見つけた子たちへ】
素晴らしい。おめでとう。授業がない期間は、図書館が17時に閉まってしまう。非常勤講師への待遇に問題があって、もしかしたら、好きな先生から学ぶことが出来なくなってしまうかもしれない。学び舎として環境が優れているとは、大きな声では言えない。それでも、面白い人はたくさんいる。あなたの力で、素敵な4年間にしてね。

図書館…😭

【そうではなかった子たちへ】
何はともあれ、お疲れ様でした。これまで積み上げてきたことに誇りを持って、いまの自分を責めないでください。大学生になる子もいれば、もう1年頑張る子もいるでしょう。いずれにせよ、あなたがとった選択に誇りと責任を持ってください。

〔大学生になる子たちへ〕
キャンパスライフなんてあっという間に終わります。あなたがいる場所ではなく、人生で最も自由なこの数年間をどう過ごすか。今は、分からないかもしれないけど、いずれ分かる時が必ずやってくるでしょう。私自身、中学受験も高校受験もことごとく失敗してきたので、新たな進路の1年目が複雑な気持ちでいっぱいなのは、とてもよく分かります。だけどあえて言わせて。色々と思うことがあるかもしれないけど、置かれた環境で、どの桜よりも美しい桜を咲かせてね。

〔もう1年頑張る子たちへ〕
その覚悟、尊敬します。大丈夫。私の周りには、浪人を経験した人がたくさんいるけど、みんなそれぞれ、充実したキャンパスライフを送っています。例え、第一志望校に行けなかったとしても。エンジンかけすぎて、失速した知り合いもいます。適度に息抜きしながら頑張るだよ!

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