保育士は国家資格なのに、親の代わりができないってどういうこと?
こちらの記事を読んで、いろいろ発見がありました。
うみさんは、0歳の子どもがいる育休中の女性です。
うみさんが、保育士ならば誰もが知っているといっても過言ではない、汐見先生の著書に「どんなに保育者が一生懸命に対応しても、やっぱり親と同じにはなれません。保育園はあくまでサブなのです」と書かれているのを読んで、驚いたというところからはじまります。
私もこの一文を読んで衝撃を受けました。
そうか、保育士はママの代わりになると思われてるのか!と。
確かにそうです。保育士は国家資格なのに、資格のない母親の方が良いって…どういうこと?、と思われるのも当然なのかもしれません。
考えたこともありませんでした。
なぜって、私も汐見先生と同じように、それは保育士になる前から「保育士は親の代わりにはなれない」と思っていましたから。でもそれは、私が生きた時代の影響だったのだと思い知りました。20数年前は、女性は出産どころか、結婚でさえ退職する人の方が多い時代でした。だから、保育園を利用する人はよほどの事情がある人でした。たった20年。されど20年。時代は変わったのです。
私は出産後、「子どもは母親が一緒にいるのが一番!」と親から言われ、まぁそうだろうな、言われなくてもわかってるよ、と思っていました。ただし、母親だけじゃなくて、父親だって親でしょう!と心の中では思っていたし、実際口にも出しましたが、そんな20代の女性の言葉は一瞬のうちにかき消される時代でした。…話がそれましたが、とにかく良かったのか悪かったのかわかりませんが、おそらく今の20代の人よりも違和感なく、子ども(赤ちゃんのうちは特に)は親と一緒が良いよね、と思っていました。
今はそんな風に考える親の方が少ないのかもしれないのかもしれない。それを踏まえて保育の仕事をしなければならない時代なんだろうと、今更ながらに気づかされました。
こんな風に新しい視点を得たうみさんは、私も読んだ「ママがいい!」も読んで、その後の想いを綴っています。
「赤ちゃんにはママがいい」と教えてくれる機会はなかった。
そうですよね。いつしか言われなくなりました。
かつて私が言われたこの言葉、耳にしなくなって久しいです。なぜ言われなくなったのだろうと考えると、それはセクハラになったり、子育てを女性に押し付ける言葉と取られてしまうからでしょう。取られてしまうというか、実際女性だけに押し付ける意図があった時代でした。私だって、言われた当時、パパだっているでしょうと常に思っていましたから。そういう点では、今は私の若い時よりも数倍女性の選択肢が増えたと感じますし、昔より今の方がいいなと思っています。
ただ、「赤ちゃんはママがいい」というその言葉自体は、子どもにとっては本質的な事実であること。だからといって、母親だけが全負担を背負って子どもの世話をしないといけないとか、父親はいなくてもいいというのとは、別の話だということを、きちんと伝える人がいなくなってしまったのかもしれません。
うみさんは、どうやら子どもの側から考えると、今の保育園は最適の環境ではない…ということを知った上で仕事をし、子を保育園に入れることを選択するだろうと考えます。
きっとうみさんのような女性はたくさんいるのだろうなと思いました。
保育園に通う子が増えるであろうことは、避けようのない現実であることを日々実感しています。
うみさんの言葉を繰り返し読んで、それでも、保育士の方が良いと思ったまま子どもを保育園にあずけるのと、子どもにとっては親の方が良いとわかった上であずけるのは、後々の子育ての中で大きな影響があるのではないかと感じました。良い影響として。
ならば、私も小さな声でも、保育士は親の代わりにはなれなくて、子どもは何があっても親が良くて、親しかできないことがたくさんあって、そのことは親としての自信と誇りに思って良いことだ、と伝えていくのを止めないようにしたいと思いました。
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