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大規模化する学童。待機児童ゼロ・保護者会がないことは子育て支援になっているのか?

私が働いていたのは、市が設置し運営している、公設公営の学童でした。
今、この公立の学童が大規模化していることが、現場でさまざまな問題を引き起こしています。

※ここでの話は、ある学童の話なので、すべての学童に当てはまるわけではありません。

私が働いていたのは3年前ですが、その時の新入学生の2/3が学童に登録していました。学童に入らない子より、学童に入る子の方が多いのです。待機児童を出さないために、市は受け入れます。1~6年生までの登録者数は100名を超えていました。ところが、施設は数年前の定員(約50名)の建物のまま。

ここまでくれば、多くを語らずとも想像できるかと思いますが、要するに、学童では狭い建屋にすし詰め状態で子どもたちが放課後を過ごしているのです。


狭いと何もできない

私は実際に働いていて、学童の一番の問題は、この「狭いこと・定員に合わない建物であること」だと思っていました。
職員の数が足りない、資格が…など他にも様々問題はありますが、とにもかくにも「十分な広さ」が確保されていたら、他の問題はまだ工夫する余地があると考えていました。

狭いと何もできません。工夫のしようがないのです。
狭いからといって小学生がおとなしく座って過ごすかといったら、そんなことはありません。

動き回って、ぶつかってケンカになる。
思い通りに運動できず、ストレスで怒り出す。
狭いから遊びが限られて、禁止事項が増えて、つまらなくなってしまう。
…ほとんどのトラブルは「狭い」ことが原因でした。

建物を広くする、できないのなら、定員を設ける。



このどちらかをするだけで、現場の職員が感じている、学童のほとんどの問題(子どもの育ちに関するもの)が解決するのでは?とさえ思っていました。
定員を設けたら、待機児童が出てしまいます。それはそれで問題なのはわかっていますが、だからといって、育ち盛りの小学生を、足も延ばせない程狭い空間に押し込めていることの理由にはならないと思いました。

場所を確保してから受け入れるべきです。
場所もないのに、とりあえず受け入れてしまえ!というのは乱暴すぎです。

現状を伝えて、上に相談・提案したこともありましたが、「そこをなんとかするのがプロでしょう」という回答で、心底がっかりしました。

問題を複雑にしているもの


もうひとつ学童の問題を複雑にしているのが、保護者にこの現状を伝えることが難しいことです。

現在の子育て支援は、「保護者の就労のため・クレームを言われないように」という視点が強く、「子どもの育ちのため」という視点は二の次になっているように感じました。

本来なら、学童の職員と保護者は子どもをともに見守っていく仲間のような存在であるべきだと思います。

それなのに、私が働き始めたころには、保護者は何かあると、学童に直接話をするのではなく、市に電話したりクレームを言うようになっていました。毎日お迎えで顔を合わせているのに。なぜこんな関係になってしまったのでしょう。


便利と引き換えに失ったもの

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