「ママがいい!」
「ママがいい!母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ」松居和
最近読んだ本で、考えさせられたというか、内容的には保育士をしていて私が感じたり考えたりしていることがそのまま書かれているものでした。何度も読み返したいと思った本だったので、ご紹介したいと思いました。とにかくあらゆる方に読んでいただきたいですが、特に、子育て中の方・子育て支援に関わる方なら、現状を考えるきっかけになると思います。
現在の保育はビジネス化して、子どもを犠牲にしている。母子分離に拍車をかけ、親の中に親心を育てる機会を奪っている。
私がこのnoteでたびたび書いている、日頃、保育の現場で目にしていること、そして危惧していることと同様のことが、とてもわかりやすく書かれていました。
なぜ、保育政策が現在のような、母子分離に拍車をかけるものになってしまったのか、年代を追って政策と共に説明されています。そして現状の保育現場でどのようなことが起きているか。さらに、起きている問題を解決するために、実際の保育現場で行われ、成果を上げている事例についても書かれていて、その部分は特に興味深かったです。
その方法は、「”1日保育者体験”を、父母それぞれ別の日に、毎年1回行い、全員参加を目指す」というものです。半日ではなくて1日、子どもがその園に通園している間に1回ではなく、毎年1回、仮に3~5歳の期間通園したのならば、卒園までに最低3回は体験する…ということが大事だそうです。
これによって、保護者の中に親心が育つ、という事例がいくつも書かれていました。特に、母親よりも父親に大きな影響があるということが興味深かったです。
私も常々、保護者の方に保育者体験をしてもらいたい、そのことは親子の関係の始まりの時期に、とても重要なものが芽生えることになるのではないか、と思っていました。私が想像していたことが現実に行われている園で、どのような変化があったかを知ることができて、やはり保護者の方に保育の現場を見てもらうことは大切なのだと、想像だけではなく確信に近いものに変わりました。
保育参観のようなお客様になる体験ではなく、自分の子とその友達、保育者たちが日ごろ生活している日常を一緒に体験する。これをしてもらったら、百聞は一見に如かずで、全てわかるだろうとずっと思っていました。直接体験することが大切で、我が子がどのような環境で育っているか、その友達と一緒に過ごせば、もう全ての子どもに対して他人事ではなくなります。子育ては、主体的に大勢の大人が巻き込まれることで、大変なものから楽しいものへ変わると思います。
また、松居さんの文章は、音楽のように心地よく、時にぐっと胸に迫ってきたこともお勧めしたいと思った要素でした。
ぜひ、皆さん読んでみてください。
※タイトルの「ママがいい!」は、私が毎日預かり保育で、子どもたちから聞いている声そのままです。シンプルなこの言葉の中に、子どもからの強いメッセージを感じて、思わず何度もnoteやTwitterで書いています。
↓過去記事を貼っておきます。園で過ごす子どもたちの声です。
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