変わる一時保育
「子ども誰でも通園制度」が令和8年度から全国的の自治体において実施予定となり、現在のところ150程度の自治体で試験的に導入されています。
そういった社会の要請から、民間の一時保育施設周辺が変化しています。
こんな施設やサービスが始まったのを見かけました。
こちらは、「YASUMO(やすも)」の名前の通り、パパママが安心してこどもをあずけて休んだり、自分の好きな時間を過ごすための民間初(三井不動産グループ事業)のパパママ休憩室併用の一時保育施設です。
30分~4時間まで予約なしで利用できます。保育室には監視カメラがあり、利用時間により製作物をつくったり、保育カードで保育中の様子を知ることもできます。
※プレスリリース(…開発者のサービス名称に込められた想い記載あり)https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/0112_02/download/20240112_02.pdf
こちらは、日本生命保険相互会社の事業の一時保育マッチングサービスです。
利用者のニーズに合った一時保育施設の提案から予約までライン上で完結する簡単・便利な予約代行サービスです。
※プレスリリース
https://www.nissay.co.jp/news/2024/pdf/20240401a.pdf
※開発者の声
どちらも、設立のコンセプトを見ると、核家族化、ワンオペ育児、孤立・孤独な育児解消などの言葉が並んでいます。子育て家庭の「ちょっとだけ・今すぐ頼りたい」のニーズの高さを物語っていると思います。
私も祖父母がそばにおらず、ワンオペ育児をしていたので、ほんの少しの時間、あるいは突発的に子どもを見てもらいたい出来事が起きた時には、本当に途方にくれました。20年前には、このような施設はなかったし、保育園の一時保育も今よりももっと敷居の高いものだったので、専業主婦の私が気軽に利用できるものではありませんでした。なので、私はとにかく自分が病気にならないとか、働かないでずっと家にいる…などの基本的に「一人で頑張るド根性スタイル」で乗り切りました。徐々に、手助けしてもらえる友人たちが増えてきて、子育ては楽しいものになっていきましたが、そうなるまでの数年間はかなり過酷な状態だったと思います。私の場合は、結果的になんとかなりました(…というか無理やりなんとかした)が、人にはあまり勧めようと思えないやり方でした。
20年前の私の目の前にこれらのサービスがあったら、私は利用したかもしれません。きっと利用したような気がします。「子ども誰でも通園制度」もきっと登録したと思います。
ただ、私は20年前と違って、今保育士になりました。なので、保育士目線でこういった施設やサービスを見る視点が増えました。
一時保育は必要だと思います。それで救われる人が大勢いるはずです。だからこそ、しっかりとした仕組みづくりが必須になります。「簡単・便利・当日予約なしでオッケー」は魅力的ですが、それらと「子どもの安心・安全」を両立させることは、そんなに簡単なことではないと子どもの生活を見守る仕事をしている者としては、そこが気になります。
ざっと見た限り、利用者の声として、パパママの声はリサーチされていますが、さらに子どもたちの声もリサーチしてみたらより良くなるんじゃないかと思いました。パパママが抱えている課題・問題を解決する施設なので、親の声が大切なのは当然のことですが、そこには子どもも関係するのですから、両者の要望が叶うものになったほうが良いですよね。そして、子どもの声を探るためには、保育者の声も積極的にリサーチしていく必要があると思いました。
(また、素朴な疑問なのですが、少子化で子どもが減っているのに、ちょっとみてもらう場所や人を見つけられない子育て中の人が大勢いるという現実は、仕組みや制度で解決するしかないのでしょうか。そんなこと言っても仕方ないのでしょうが、ついそんなことを考えてしまいます…)
一時保育は行政だけでなく、今後はもっと参入する企業が増えてくるでしょう。社会の関心が広がってくれば、より良い仕組みができるのではないかと期待しています。今後も注目していきたい取り組みです。
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