風の色 | #シロクマ文芸部
「風の色が見えるの」
彼女は悲しそうにそう言った。
具体的に何色がどうなんだか聞きはしなかったが、問題は風だけでなく、空気自体の色が見えてしまうことらしい。
「それで友だちがいないのかい?」
彼女は頷くと、僕の目を見つめて涙を流した。
どんなにニコニコ笑いながら明るい会話をしていても、薄暗い空気の色になるとそれはイコールその人の心の声であり、内心は「つまらない」「嫌い」と感じていることが目に見えてしまうからだという。
「そんなに悲しいかい?」
「違うの 今ね、風がピンク色なの」
僕たちは笑顔で見つめあった。
(了)
シロクマ文芸部の企画に参加しました。
小牧幸助さん
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