紅白で星野源の「ばらばら」を聴いて感じたこと
今年(去年?)の紅白は、とても素敵だった。
こっちのけんとや tuki.、ミセスやLE SSERAFIMなど今年の音楽シーンの中心で活躍したアーティストはもちろん、既にベテランの風格があるSuperfly やaikoやVaundy 。 GLAYやTHE ALFEEは初めて聴いたけどめちゃくちゃかっこよかった。自分の中で特に印象に残ったのは玉置浩二で、曲もパフォーマンスも最高だった。
J-pop、K-pop、ロックや演歌や HIP-HOP など、ここまで幅広いジャンルのアーティストを見ることができる音楽番組はなかなかないと思うし、年末に多くの人に親しまれている番組として、ある意味とても攻めている番組なのではないかなと思う。紅白前からいろいろと賛否両論あったようだが、それでも自分は素敵な番組だなと感じた。
そんな中で自分が特に楽しみにしていたアーティストが、星野源 (以下源さん) だった。
2023年の最後にアルバム「光の跡」をリリースし、「ドラえもん」や「Pop Virus」などまだ紅白で演奏されていない曲も多い中で、発表された曲は「地獄でなぜ悪い」。
大好きな曲で楽しみにしていたのだが(しかも弾き語り!)、いろいろあって曲変更となり、次いで発表された曲が「ばらばら」だった。
源さんのソロとしての音楽キャリアで最初の曲であり、ある出来事から生まれたやるせない気持ちと、源さんが前から抱いていた疑問をぶつけた歌。
「ばらばら」を紅白で歌うということを知った時、「ばらばら」という曲が今の源さんの心境と、もっと深い「世界は一つにはなれない」というメッセージが重なり、胸が熱くなった。
そんな中でどきどきしながら見た紅白。
源さんは椅子に座り、数秒の沈黙の後ゆっくりとギターを弾き始めた。
すごいものを観たな、と思った。
源さんの眼差しと、歌と、ゆっくりと丁寧に弾くギターから、確かに何かが伝わってきた。
ライブやYouTubeで見る明るい源さんではなく、こんな言い方は失礼かもしれないけれど、腹の底にあるどす黒い素の源さんを見たような気がした。
そのパフォーマンスは、キラキラした紅白の中でひときわ際立っていた。
世界にはいろいろな考え方の人がいて、嘘もつく。そんな中で、世界が一つになることなどできない。
源さんの演奏を観ながらそんなことを思った。
そのメッセージは「本物はあなた わたしも本物」という原曲と変えた歌詞によってより強くなった。
そして不思議と、未来への希望も感じた。
世界はばらばらでどうしようもないけれど、逆にそれだからこそ面白いのであり、いい感じにばらばらに生きていこう。
これは自分の勝手な解釈だが、「絶望」や「怒り」と「希望」や「面白い」「楽しい」という気持ちは実は背中合わせなのかもしれないなあ、と思ったりもした。
紅白での源さんのパフォーマンスを見て、皆さんはどんなことを感じただろうか。
自分の中では、源さんが「ばらばら」という曲を披露した約4分だけではなく、紅白前の出来事、紅白後の余韻、ラジオ、そしてこの記事を書いている今も源さんの「紅白」は終わっていない。いろいろなことを感じて、聴いて、記事を書いて、改めて源さんは素敵な人だなと思ったし、「ばらばら」という曲もより一層大好きになった。
源さん、素敵な歌をありがとう。
楽しい一年になりますように。