「映画館」好きに読んでほしい『キネマの神様』
原田マハ著『キネマの神様』
映画好きはもちろん、
「映画館」好きに読んでほしい小説です。
39歳独身の歩(あゆみ)は突然会社を辞めるが、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、多額の借金が発覚した。ある日、父が雑誌「映友」に歩の文章を投稿したのをきっかけに歩は編集部に採用され、ひょんなことから父の映画ブログをスタートさせることに。“映画の神様”が壊れかけた家族を救う、奇跡の物語。(文藝春秋HPから)
印象的だったのは、主人公・歩の言葉。
映画館の臨場感とは、映画というシステムがこの世に誕生すると同時に作り出された究極の演出なのである
その臨場感こそが『娯楽』を追求した人類がようやく獲得した至宝だからだ
私は昔から映画が好きです。
ただ、コロナ禍で思うように映画館に行けない日々。
ネット配信など映画を見る手段はいくらでもあるのに、
最近、映画から遠のいてしまっている自分にもやもやしていました。
でも、この歩の言葉に触れて、
映画も好きだけど、「映画館」が好きなんだ、と思えました。
となりや後ろの座席から漏れ聞こえてくる笑い声やすすり泣く音で、
自然と映画の感動を共有できるあの空間に、
私は映画の醍醐味を感じていたんだと思いました。
コロナ禍で同じような気持ちでいる方、
ぜひ読んで見てください。
早く以前のように映画館で、映画を自由に楽しめる時が待ち遠しくなる作品でした。