全力で眠る
全力で眠る
私は30代の時、極度の不眠症になったことがある。
仕事が忙しく、子育てにつまずき、恋愛に不安を抱えていたのが原因だ。
子供が学校に行けなくなっても、私は仕事をやめられず、毎日、23時過ぎまで残業し、
地下鉄に飛び乗って帰宅。
帰ると、子供たちに適当にご飯を食べさせて、12時過ぎにバタンキュー。
布団に入るとすぐに入眠するのだが、1時間後に目が覚め、トイレへ行き、明日の仕事の段取りを考えながらまた寝る。
そして、そのまた1時間後に起き、ヤバい!明日、これを絶対やらないと。子供たちは学校へ行くかな?彼は浮気していないかな?
などと思いわずらいながら、また眠る。
そしてまた1時間後。。。
と、これを4回繰り返すと、朝4時になる。
4時になると、もう起きる時間まで1時間となり、私は残りの1時間、悶々とした時を過ごす。
やがて5時になると、布団から起きて、子供達のお弁当を作り、洗濯をし、お茶碗洗いをし、ゴミを捨て、8時には家を出る。
こんな生活を2年ほど繰り返しただろうか。
のちに、精神内科を受診し、「それは不眠症ですね」言われるまで、気がつかなかった。
自分が不眠症だという認識が全くなかったのである。
カラダがしんどかったなぁ。
その後、この10年間で、仕事を辞め、子供達も成人し、恋人ともわかれ、今では新しい恋人がとても誠実な人で、不安もない。
だいたい眠れるようになっている。
最近は、更年期障害で、ホットフラッシュが起きたりして、夜中に起きることはあるし、なかなか寝付けないこともあるが、不眠症というほどでもない。
しかし、私の今の恋人は、50年以上不眠症になったことがなく、ものの5分で入眠し、朝になるまでぐっすり眠れる人なのだ。
そして、彼の口癖は、いつも「不眠症は寝る気が足りないんだ!全力で眠ろうとすれば、眠れる!」です。
不眠症で苦しんでいる方、すみません。
私は彼が不眠症になったことがないから、そんなことが言えるんだわ。と思っていました。
不眠症って、本当に苦しいし、身体も調子悪くなるし、辛いんだぞ!
「やる気出したら余計眠れなくなるじゃん。眠い時は、フワーっとしてのんびり構えてたら自然に眠れる。」という考えでした。
しかし、先日、そんな彼に「全力で眠るってどうゆうこと?」と聞いてみた。
すると彼は、このように実演して見せてくれた。
「まず、脳の中を本気でリラーックス。はい。リラーックス。
もう一度、リラーックス。
そして、数を数える。
いち。。。。。に。。。。。さん。。。。」
「だいたい、20も数えれば眠っている。
俺の場合は、2か3で寝てる。」
というので、私も真似してみた。
「頭の中をリラーックス。リラーックス。スーハースーハー。
いち。。。。に。。。さん。。。。」
驚いた。マジで眠れた。
気がついたら朝だった。
もう一度言わせて。驚いた。
調子に乗った私は、翌日もやってみた。
眠れた。
しかし、翌日は、夜中に目が覚めてしまった。
更年期障害の影響で、身体がほてっているので、冷えるまで1時間くらいかかる。
冷えるまで眠れないのだ。
だいたい毎日そんな感じだったので、携帯でも見て、退屈しのぎをきようかと思ったけど、
「いや待てよ。本気で寝る脳の中リラックスしたら、すぐ眠れるかも?」と思い直して、やってみた。
「脳のリラーックス。リラーックス。スーハースーハー。」
眠れた。
なるほど。
彼のいう、本気で眠ろうとするって、脳の中を空っぽにして、リラックスしようとすることなんだ。
この方法を知ってから、2週間ほど経ったが、今のところ、順調に眠れている。
快適だ。
しかし、おととい、退院してきた母との同居が始まったので、夜中3度のトイレで起こさせる。
トイレに行くたび、私もモゾモゾと起きて、トイレの介助をする。
私の安眠が奪われていくー。
あぁ、自分のペースで寝たいなぁ。
2021.3.8筆
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