別居する-メリット、デメリット、注意点
離婚したいなら、別居は大きな一歩です。私の場合もそうでした。
別居すると、世界の見え方が変わります。今までは見えていなかった新しい世界があることを痛感します。夜が明けて朝日がでてきたような感じです。また、しばらく距離をとると、自分がいかに相手の考え方に左右され、相手の意向や様子をうかがっていたことに気づきだします。雪解け水のように少しずつ、何かが洗い流されていくのです。
しかも、裁判官が離婚の破綻を判断する根拠として別居の期間があります。弁護士に相談すると、(不貞などの法定離婚事由がない場合には)、別居期間が2~3年欲しいと言われます。婚姻関係が破綻したという理由・証拠をどれだけ積み上げられるかにもよりますが、やはりこの年月は目安となります。そうなると、さっさと別居するに限ります。
しかしながら、別居するデメリットと注意点はいくつかあります。
第一に、以前の記事でも述べたように、相手の情報を集めにくくなります。集めてから別居する、別居しても家には入れる工夫をする必要があるでしょう。もし家の所有権を一部でもあなたが所有しているのであれば鍵を持っていて当然ですので、鍵を全て渡してしまう必要はないでしょう。
第二に、あなたが収入に乏しい場合は、別居すればするほど家計的に辛くなることもあります。十分な資産を持って別居を始める必要があります。
第三に、離婚が法的に認められていないあなたは、自分と相手がきちんとした生活を営めるようにしておく必要があります。あなたが男性であれば特にあてはまりますが、収入の多い方が婚姻費用というものを相手に支払うことが法的に期待されています。これを支払っていないと、裁判になったときに「あなたが相手を悪意で遺棄した。」と指摘されてしまうかもしれません。別居開始と同時に支払いを続けているという証拠を残しておくべきです。
ここで、婚姻費用をいくら支払うかの相場が分からないと思いますが、参考にする金額として裁判所はいわゆる「算定表」というものを作っています(令和元年に改定されています。下記参照)。これで金額の目安が分かります。ただし、持ち家が有り、相手がそこに住みつづける場合というように、個別の状況を考えたものではないので、注意が必要です。支払い過ぎていることも起こりえます。
養育費・婚姻費用算定表(令和元年版)
第四に、お子さんがいて相手がその養育をする場合、離婚前は相手に婚姻費用を支払うのですが、離婚後は相手の扶養義務はなくなるので、子供の養育費のみを支払います。ここで注意することは、「婚姻費用>養育費用」となることが多いということです。その結果、男性側が離婚を求めても、妻側によっては離婚する方が金銭的に損してしまうので、離婚をできるだけ延期しようとしてしまうのです。離婚を早期決着したいのであれば、理由を上手に見つけて、「婚姻費用>養育費用」となるような婚姻費用を支払わないで済むようにしたいものです。
最後に、別居することで、いつかは孤独を味わうことになります。最初の数カ月は楽しいでしょう。でもどこかで寂しくなることでしょう。これはどうしようもないと思います。むしろ、それが普通ですので、そういうもんだと、心持ちを軽くしておきたいものです。