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つるべ落としに日が短くなるこの時期、何となく体調が悪いという人はいませんか? もしかしたらそれ、体内時計が悲鳴を上げ、睡眠覚醒のリズムが乱れているからかもなのかもしれません。人間には、睡眠・覚醒のリズムを地球の自転周期の24時間に合わせようとする機能が備わっています。その中枢は、脳の視床下部の視交叉上核にある体内時計にあり、体内時計は起床時に光を浴びることで毎日リセットされています。
 
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史教授に話を聞きました。


地球の自転速度に合わせて進化した体内時計


村中璃子:人間の体内時計の生理的周期(サーカディアンリズム)は24時間より30分から1時間ほど長く、それを24時間にあわせて生活していると言われています。一方、日の入りと日の出の時間の方は年間を通じて毎日少しずつずれていきます。それでも、人間は毎日同じ時間にベッドに行って、毎日同じ時間に起きるというのは、本当に健康的と言えるのでしょうか。事情が許すのなら、冬は遅寝遅起き、夏は早寝早起きにした方がいいということはないのですか?
 
柳沢正史:いきなり難しい質問ですね。まず、体内時計の周期が24時間より長いという説は、おそらくは誤りです。現在、専門家のコンセンサスでは体内時計の生理学的周期は24時間ちょうど。多少の差はあるかもしれませんが、平均すると24時間とされています。
 
フリーランニングで体内時計を測るのは、難しいんです。被験者を光刺激も何もないところに閉じ込めて自分で照明のコントロールを行わせると、体内時計は実際よりも長めに出る。つまり、体内時計が遅れていくとことが後から分かり、もっと方法で測ってみたら、体内時計は平均で24時間ということも分かった。
 
村中:体内時計は、人間の進化の過程でちゃんと地球の自転周期に一致していたんですね!
 
柳沢:体内時計がそもそもどうしてできたかというと、明暗を予測できる方が生存に有利だから。実を言うと、動物よりも植物でそれは顕著です。

植物は、昼は光合成して、夜は人間と同じように呼吸をするわけですよね。夜の間は酸化的な反応が起こって、昼の間は還元的な反応が起こる。昼と夜とで細胞の中での生化学が真逆なんです。それを切り替えてきちんとやるためには、朝になる時間帯をあらかじめ予測できた方が生存の上でもはるかに有利なわけです。 

朝型でも夜型でも体内時計サイクルの差はたったこれだけ!

村中:体内時計の周期が24時間より少し長い人は「夜型」で夜ふかしが得意、短い人は「朝型」で早起きが得意だとされていますよね。平均すれば人間の体内時計のリズムは24時間ピッタリだと言うのであれば、あれは具体的に何分くらいの長い、短いを言っているのでしょうか。

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