私がレプリコンワクチンの安全性に問題がないと考える理由
日本では今年、オミクロン株に対応した5種類の新型コロナワクチンが定期接種として接種できることになりました。5種類とは、ビオンテック・ファイザー、モデルナ、第一三共のmRNAワクチン、ノババックスの組み替えたんぱく質ワクチン、そして、9月に承認されたばかりのMeiji Seika ファルマのレプリコンワクチンです。
新しいワクチンが出てくると、必ずそれに反対する人が出てきます。レプリコンワクチンもその例にもれず、レプリコンワクチンを接種した人の入店を拒否する店やレプリコンワクチンを接種する病院に対する嫌がらせや誹謗中傷が相次いているという記事を目にするようになりました。
特に、一般社団法人・日本看護倫理学会なる団体が8月、「新型コロナウイス感染症予防接種に導入されるレプリコンワクチンへの懸念と自分と周りの人々のために」と題した緊急声明を出すと、まるで医学界でもこのワクチンの安全性に関する疑問が持たれているかのような印象が広がりました。
その内容を一部抜粋すると
1.レプリコンワクチンが開発国や先行治験国で認可されていないという問題
日本がレプリコンワクチンを認可してから 8 ヶ月が経過していますが、開発国である米国や大規模治験を実施したベトナムをはじめとする世界各国で未だにレプリコンワクチンが認可されていないのはなぜでしょうか。この状況は、海外で認可が取り消された薬剤を日本で使い続けた結果、多くの健康被害をもたらした薬害事件を思い起こさせます。
2.シェディングの問題
レプリコンワクチンが「自己複製する mRNA」であるために、レプリコンワクチン自体が接種者から非接種者に感染(シェディング)するのではないかとの懸念があります(Seneff & Nigh, 2021)。すなわちそれは、望まない人にワクチンの成分が取り込まれてしまうという倫理的問題をはらんでいます。レプリコンワクチンは、感染性を持たせないように設計されている(Ricardo-Lax et al., 2021)とのことですが、そのことは臨床研究によって実証されなければなりません。
3.将来の安全性に関する問題
遺伝子操作型 mRNA ワクチンは、人体の細胞内の遺伝機構を利用し抗原タンパク質を生み出す技術であることから、人間の遺伝情報や遺伝機構に及ぼす影響、とくに後世への影響についての懸念が強く存在します。mRNA ベースのワクチンはヒトの DNA を変化させないという根強い主張がありますが、それを裏付ける研究は欠如しており、出所のはっきりしない仮定である(Domazet-Lošo, 2022)ことが明らかになっています。
ワクチンに漠然とした不安を持っている人がこれを読むと、きっと不安になるでしょう。しかし、これは科学的根拠に極めて乏しい、ほぼ妄想ともいえる主張です。
この記事では、わたしがそう考える理由を説明します。
レプリコンワクチンとは何か?
はじめに、レプリコンワクチンとは何か。その問いに一言で答えるとすれば
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