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村中璃子、ちょこっと読み。

わたしの書いた記事や科学・医学のニュースのまとめを適当にセレクトしてちょこっとお届けするマガジンです。わたしがnoteに書いた記事をぜんぶ読みたい方はマガジン『文系女医の書いて、…
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2022年3月の記事一覧

「難民列車」の7時間

「難民列車」の7時間

プラハ中央駅のホームからベルリン往きの電車に乗ると、デッキに何人かが座りこんでいて、ずいぶんと混んでいるようだった。苦労して中に入ると、指定していた席に5歳くらいの男の子を抱いた若い男性が座っていた。

「すみません、この席を指定しているんですが」

英語もドイツ語も通じない。

男の子の父親かと思ったが、よく見ると顔にはあどけなさが残っている。15歳くらいだろうか。横の4人がけにいた金歯の目立つ

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2022年「国際女性デー」に寄せて、子宮頸がんワクチンのこと

2022年「国際女性デー」に寄せて、子宮頸がんワクチンのこと

「守れる命を守る会」は4年前の今日、国際女性デーに記者会見を開きいて「子宮頸がん予防HPVワクチン接種の積極的勧奨再開に関する声明」と「子宮頸がんから日本人女性の命と健康を守るための 科学的な言論活動を支援する声明」の2つの声明を発表しました。

関係者の努力が実り、来月から8年10か月ぶりに子宮頸がんワクチンの勧奨が再開します。接種の機会を逃した女性に対するキャッチアップ接種(定期接種年齢の小6

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人道支援の光と影-ウクライナ難民流入でコロナとポリオ再燃のリスク

人道支援の光と影-ウクライナ難民流入でコロナとポリオ再燃のリスク

日本では桃の節句だった3月3日、わたしの暮らすドイツのハンブルク市は小学校から高校に通う子どもたち25万人に特例を出し、2時限で下校してウクライナの反戦デモに参加することを認めた。

ずいぶん大人っぽいが、この記事のカバー写真は「No War(反戦)」のプラカードを掲げていた小学6年生の女の子たちだ。

ヨーロッパ第2の繁華街「レーパーバーン」の広場に集まった子どもの数は、木曜日の昼だというのに1

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次はあなたの故郷かもしれない

次はあなたの故郷かもしれない

「私の故郷ハリコフは壊滅しました。次はあなたの故郷かもしれない」

ウクライナ国旗を掲げるハンブルク市庁舎前で黄色いベレー帽と青いセーターの女性が立っていました。「SNSにあげますね」と言ったら「ありがとう」と言われました。

Googleマップで検索するとわが家からウクライナ国境まで車で11時間半、距離にして1500キロ足らず、ちょうど東京から陸路で鹿児島に行くくらいの距離です。

確かに離れて

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