15歳のひとり旅インド*10日目
朝7時。
ハイデラバードの朝日はとても美しい。
家を出て車に乗る。今日は女子校を訪れる予定だ。ホストシスターも同じ時間に家を出て、彼女はスクールバスに乗る。
日本語の授業がある珍しい学校で、その先生が出迎えてくれた。
校長先生や教頭先生を一通り紹介してもらったあと、外のグラウンドで集会があった。デリーとは違い、蒸し暑くなく、25度前後で気持ちい風が吹くので、前の学校のように立っているのがつらくはない。フランス語を学んでいる生徒たちが、フランス語で挨拶し、1人が英語に訳してくれる。とても流暢で、インドで話す英語、ヒンディー語、そしてテルグ語などそれぞれの母国語に加え、さらに学んでいるのかと驚かされた。
その後、日本語を学んでいる生徒がステージに立ち、私のことを紹介してくれた。原稿を見ずに、スラスラと喋ってくれて嬉しい。全校生徒1000人くらいの前で名前を伝えてもらったので、廊下を歩いているとみんなが私の名前を呼んで手を振ってくれる。特に小さい子のクラスに行くととても可愛い。
先生が『おはようございます』の発音を教えてあげて、それを6歳くらいの女の子たちがリピートしているのは感動ものだ。
小学生から高校生までの一貫校なので、さまざまなクラスを見学できた。
アートのクラスで、ピスタチオの殻など捨てるはずの素材をアップサイクルして作品にしていたり、日本の版画のようなことをしていた授業もあった。
日本語のクラスには、ひらがなで『じかんわり』とあり、可愛らしい。授業にオブザーバー参加をする予定だったので、待っていると、たくさんの生徒が駆け寄って来てくれ、サインをお願いされた。全部描ききれなかったのもあり、なんだかセレブになった気分だ笑
日本のアニメについて主に質問され、呪術廻戦を好きな子が多かったが、私は観たことがなかったため、好きなキャラクターを聞かれて答えられなかった。
プレゼントをくれた子もいて、貝殻や絵、なんと手作りのぬいぐるみもいただいた。案内してくださった日本語の先生からは、趣味だという水墨画をいただいた。好きなインド料理はイドゥリだと伝えたら、お昼に持って来ていたであろう自分のお弁当を取りに行って、『お母さんの手作りで辛くないから食べて!』といってくれた子も。トマトベースのカレーで大変美味しくいただいた。
自分と違うものに興味津々で、まだ会ってもいない人のためにたくさん準備してくれる。そんなインドの人々に、私は何度救われて来ただろうか。
お昼頃、再生可能エネルギーに取り組む会社を訪れた。
アメリカで生まれ、オランダで修士号を取ったというさんとみっちり1時間意見交換させていただいた。
インドの強みは何かと聞くと、小さな技術を大きなスケールに拡大できることだという。人口のおかげでマーケットが大きいため、日本の企業などの技術をコラボしてインドに持ち込み、現地に合わせて大きくするそうだ。
私が行っている農村部の排水処理と水産養殖システムの研究についても、実現可能性や現地の人々にどうすれば受け入れてもらえるかなどたくさんの貴重な意見をいただいた。実証実験も自分たちの事業で関わっている農村での取り組みをサポートするといってくださり、非営利の課題解決にも精力的に取り組まれている会社だった。
午後は、昨日も一緒に宮殿に行った女の子と、有名な博物館に行った。
観光地はいつもそうだが、インド人の10倍(1000円くらい)の入場チケットを支払う。まあ私以外インド人しか見かけなかったが。インドは差が大きすぎる気もするが、国民とそうでない人で違う料金を設定する取り組みは、自然公園を中心に諸外国では当たり前だ。観光でその場所を訪れる外国人は、値段が高くてもそこに行くのだから、日本も柔軟に対応していったらいいと思う。
インドの歴史を美術品で振り返るのは、想像以上に面白かった。
銀で作られたガネーシャやブッダなど、日本でも見かけるようなものから、先っぽが顔や靴になった杖まで。発想の豊かさとそれを形にする技術の高さに驚かされる。
日本のコーナーも一室用意されていて、サムライの銅像や漆の器も展示されていた。本場の仏像を見ているうちに、当時は全然興味を持てなかった中学校の頃の美術で学んだ仏像の変化と時代背景を思い出した。金属だけでなく、象牙でできているものもあり、興味深いが、人間が美しさを求めるあまり他の生物に負担をかけていることを、また思い出させる。
夜には、お母さんに教えてもらい、一緒にチャパティを作った。生地を伸ばすのがとても難しく、最終的に仕上げで整形してもらってなんとか綺麗になった。
『見た目は関係ないよ。大事なのは中身だから』自分で食べる分には間違えない言葉だ。
チャパティは平べったいフライパンで1分くらいそのまま焼いた後、直接火の上に乗せていた。この時に生地が大きく膨らみ、層が現れる。焦げ目がいい感じについて、私はつけないがギー(脂)をつけるのが一般的だ。
お腹いっぱいなので、少し散歩に行ってから眠りたいと思う。
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