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不毛な会話がストレスな介護スタッフへ

施設ケアでスタッフがお客様の繰り返される愚痴や自慢話を『不毛な会話』と呼ぶのが面白い。
不毛=実りが望めない

『ああ、マジで不毛。自慢話。何回も聴いた。』
私『黙って聴いてるの?』
スタッフ『何か言うと長引くから黙ってる。』そうだ。

聞き上手は相づち上手


おそらく、黙って聴いているのではなく、相づちは打っている。
不毛な会話が長引くのは、この相づちがとても誠実で話し手にとっては、心地よいからというのもある。

民謡の合いの手。『ハ〜ヨイヨイ』みたいなもの。

そこで、相づちをちょっとした質問に変えてみる。
いつもの武勇伝、自慢話、愚痴をいつもの調子で話させてあげるのも大事なケアだが、次の業務に差し支えないように時間をコントロールする技術がなければ、施設でのチームケアは成り立たない。

仕事の自慢
『ハ〜ヨイヨイ』ではなく、『で、その時、なにが?』『どうしてそうなった?』など質問してみると、『?!』とした顔になり、考え、答えてくれる。『そうだったんですね。勉強になります。ありがとうございます。』で、話を終わらせ、いつものストーリーを半分で終わらせる代わりに新しいストーリーが生まれる。
話の腰を折ると、怒らせるのでは?とか失礼にあたるのでは?という考えが拭えないかもしれないが、「早く終われ」と思いながら聞く不誠実さは、隠しているつもりでも伝わっていると思ったほうが良い。

繰り返される同じ愚痴
病気や不自由になった体のこと。家族関係や日々の暮らしのあれこれを
ことごとく「愚痴」、時には「クレーム」としてスタッフを引き留めて話し続ける方もいる。「生きていてもしかたない」「なんで、こんなことに」と繰り返すわりはに、食欲もあり、睡眠も十分でうつ病ではない。
話した後は、なんともすっきりした様子で、むしろ、話を聞かされるスタッフのほうが抑うつ気分になることがある。

そんな時は、「一番キラキラしてた時は、おいくつくらいの時ですか?」
「今までで一番楽しかった出来事は?」などの質問をしてみる。
ちょっと嫌そうにされることもあるが、「この人に、私の愚痴は聞いてもらえないな」と思われたら、「不毛な会話」は無事終了。
たいていは、終了どころか盛り上がってしまう。
家族関係の愚痴の多い人は、家族と上手くいっていた頃の話や裕福な家庭環境、学歴自慢などが始まる。
健康への喪失感の強い方は、スポーツや旅行を楽しんでいた頃の話。
話題が見つからないときは、「初恋は?」と聞いてみると、意外な恋バナが始まり楽しいことも。
結果、新しいストーリーが生まれる。

楽しい会話は、「愚痴」「クレーム」のような重い会話よりは、終わらせる時の抵抗が無い。

不毛=実りが望めない

実りが望めないいつもの会話から、新しいストーリーを実らせるには、スタッフが荒れた土地にたたずむのではく、水や肥料を投じてみなければなりません。そんな、気力なんて無いよ、という日もあるでしょう。
新しいストーリー = 新しい不毛な話
と、感じるスタッフもいることでしょう。

最高の合いの手

新しいストーリーを聴く時には、
「そんなに楽しい経験をされたんですね」
「大活躍の人生でしたね。そして、もっと早くに病気をされる方もいるのに、ここまで長生きされているんですね」
「恵まれた環境だったんですね。幸運でしたね」

という合いの手が大事。

施設で暮らす方にとって、人生を振り返る時間が、スタッフの言葉で華やいだら、その日一日は、心地よく過ごせる。
上手くいくと、スタッフ自身のストレスも緩和される。

どうか、話し手も聞き手も実りある時間を過ごせますように。






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