【心理学論文30】柔らかいものに触れていると中性顔がより女性っぽく見える
引き続きじぶんの博士論文関係の論文。あっ、学生時代は皮膚感覚と認知処理の関係の研究をしてました。研究テーマだけでも覚えて帰ってくださいねー。
わたしたちは普段の日常会話で、「意志の硬い人」「優しくて柔らかい雰囲気の人」という表現をよく使う。こうした比喩表現は、単なる言葉のあやではなく、実際の身体感覚が人の認知や判断に影響を与えているとする研究がたくさんある。
たとえば、「温かい飲み物を持っていると、相手に対する親しみやすさが増す」という研究や、「重い物を持っていると、判断の重みや重要性が高まる」といった実験結果が報告されている。
性別の印象にもこのような身体感覚の影響があるらしく、Slepian et al.(2011)は「男性=硬さ」「女性=柔らかさ」という結びつきが存在するかどうかを検討した。この研究では、実験参加者に硬いボールまたは柔らかいボールを握ってもらい、中性的な顔写真を「男性」または「女性」として分類するタスクをおこなってもらった。その結果、硬いボールを握った参加者は中性顔を男性と判断する傾向が強く、柔らかいボールを握った参加者は女性と判断する傾向が高かった。
この研究は大学生が対象なんだけど、もっと小さな子どもだと同じような結果になるのかな。こういう「男性=硬い」「女性=柔らかい」という感覚的メタファーは、文化的に学習されたものなのかなー、どうなのかなーって思ったので、年齢階層別に再現実験をやってみたくなった。社会的な刷り込みがいかほどなのかなと。
おしまい
Slepian, M. L., Weisbuch, M., Rule, N. O., & Ambady, N. (2011). Tough and tender: Embodied categorization of gender. Psychological Science, 22(1), 26-28.