きっと私も貧困だった 【ドラマ #01】WOWOW「東京貧困女子。」
WOWOWオリジナルドラマ。2023年放送。
原作、中村淳彦『東京貧困女子。彼女たちはなぜ躓いたのか』。主演、趣里。
2024年5月24日の深夜に、全6回一挙再放送があり、録画をして、翌日の深夜に一気見した。
貧困の切実さは、貧困を経験したものでなければ理解できないように思う。
ただ、貧困問題は個人の問題ではなく、社会の問題であることは、私も理解している。
私自身は貧困家庭ではなかったが、長らくワーキングプアだった。大学卒業後、地方の小さな美術館学芸員(正規雇用)に勤めたときの月収は、手取り14万円。残業代なし、休日手当なし、21日連続出勤をしても、月給制のため給与はいつも同額。
その後、結婚&出産を経て再就職するが、すべて非正規雇用での採用、どこも給与は手取り10〜15万円。美術業界は「働きたい人」が多いため、昔から低賃金である。
私は美術業界、とりわけ美術館で働く人の低待遇に、怒りを感じてきた。職場は女性が多く、非正規雇用職員が多い。彼女たちの多くが、驚くほど安月給あるいは安価な時給で働いている。自分もその中のひとりだったが、昨年公立館から民間企業に転職した。非正規雇用ではあるが、美術に関わる仕事で、はじめて手取りが20万円を越えた。手取りが20万円を越えるまでに、およそ二十数年かかった。
独り身だったら、私も完全に貧困女子だっただろう。
主人公である女性編集者の、劇中の台詞である。
朝ドラ「寅に翼」の話もそうだが、女性というだけでの生きづらい。昭和、平成、令和と時代が変わっても、相変わらず差別される側である。
…がしかし、貧困について考えると、それは女性特有の問題ではないと思う。
このドラマは「東京貧困女子」というタイトルだが、貧困は東京だけに限ったことではなく、また女子に限ったことでもない。貧困の中でも「東京」で暮らす「女子」を切り取ったドラマであることを、意識して見ないといけない。
私の子どもたちは二人とも男子だが、ドラマを見ていたら、息子たちもいつ貧困男子になるか、わからないなと思った。
もちろん自分だって、夫と離婚したり、夫が亡くなったら、貧困おばさんになりかねない。
オンデマンドでも見られるようなので、WOWOWにご加入の方はぜひ。
久しぶりにWOWOWのドラマを見ましたが、地上波では扱わないようなテーマのドラマを丁寧に制作していて、WOWOWのドラマは見応えあって、考えさせられた。
2024.5.26
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