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メイクアガールを観た感想とか考えとか


先日、映画メイクアガールを観て、26年ぶりに劇場パンフレットをダッシュで購入するほどにハマったので、感想というか考察を言うかをしてみる。

まずこの話、見えているストーリーラインを大きくくるんだ、陰謀があるんじゃないかということ。
結論から言うと、「自分の寿命を感じた水溜 明マミーが、復活するために仕組み、本人の予定より若干時間は早かったものの、ある程度目論見通りに復活できたというエンディング」
以下にその理由を書き出します。

  1. 何よりもエンディングの0号ちゃんの様子

  2. 水溜 明は第三人類である

  3. 改造ソルトたちはロボット三原則によって攻撃できないんじゃない。

  4. まとめ

  5. 最後に

1.何よりもエンディングの0号ちゃんの様子

 これは言うまでもなく、表情が大人びて、明への視線の向け方が変わったこと。明マミーの姿やセリフがオーバーラップするようになったこと。劇場特典のカードにて、目覚めて髪が伸びたあとの彼女の絵に「0号ちゃん?」と?マーク付きになって掲示されたこと。
 これらから、目覚めたあとの0号ちゃんは、明マミーの記憶が0号ちゃんに上書きされたことは間違いないだろう。
 が、タイミングが早かったために復活はうまく行かず、不完全な状態になってしまった、とも思われる。
 なぜなら、「0号ちゃん?」はエンディングで焼け焦げるハンバーグを見守るだけだった。いくら料理下手な人でも(たぶん明マミーは料理下手だろうし)焦げ始めたら「どうしよ、どうしよ」と慌てるはずだが、ただ見守るだけだった。最初期の空っぽだった0号ちゃんのように。
 本来の予定では、人間として一人前になった0号ちゃんに自分の記憶を上書きすることで、自分の死亡時点にある程度近い状態で復活する予定が、海中 絵里の妨害行為により明とソルトの親分の覚醒が早まり、結果的に0号ちゃんに上書きするタイミングが早まってしまったために、人間としても不完全な状態になってしまったのではないだろうか。

2.水溜 明は第三人類である

 ラストの戦いでの反応を見ると、明が第三人類、つまり人造人間であることは確定。彼は明マミーによって、復活のための素材を揃えるために作られた第三人類Ver.1だと思われる。
 そして、明マミーの専攻は、「ロボット工学」ではなく「人造生物・人類の創造」だったのでは。その志半ばで世を去らねばならない運命に抗うために、現段階でできる第三人類Ver.1・明を作り、自らの記憶をデータとして残し、明の研究により完全になった第三人類に記憶を上書きすることで、復活を目論んだ。
 明が成長段階で感じるであろう、人類との微妙な違いは、あらかじめ右腕を義手にしておくことで「あぁ、事故で右腕が義手になったように、他のところも色々いじらなきゃいけなかったんだな」と思わせたのではないか。
 明が研究者として第三人類を完成させることができる段階まで成長したら、何らかのきっかけで「メイクアガール」コマンド、つまり母親の素体となる第三人類Ver.2を作らせて、人間的に成長させたうえで、自分を上書きし、復活する。
 「彼女を作ってパワーアップ」って展開が妙に強引というか、展開として無理な感じがしたのも、「メイクアガール」コマンドを実行する時期になっていたので機会を伺っていた、明に仕込まれた明マミーの命令が、今だ!ってコマンド打ち込んだからでは?と。
 0号ちゃんが第三人類Ver.2なのは、「いつから君は僕の前を歩くようになったんだ」というセリフにあるように、人間らしく積極的に、興味あるものを次々吸収できる第三人類Ver.2の0号ちゃんに対し、まだ開発途上であったVer.1の明はあらゆる面で頭打ち、これ以上は人類に近づけない、って意味も含んだセリフではないだろうか。
 海中 絵里が妨害行為をしなければ、明マミー復活計画は成功したんだろうな。

3.改造ソルトたちはロボット三原則によって攻撃できないんじゃない。

 ちょっと脇道にそれる感じだけど、改造ソルトたちが明を攻撃しようとして強制キャンセルからの自爆したところ。
 明はこの自爆について、「そういうことはできないように設計されている」と言って、ロボット三原則的なものがあるように思わせているが、これはミスリードではないか。
 なぜなら、海中 絵里にソルトはナイフを突きつけている。ロボット三原則によれば、攻撃の意図があるだけで負荷(痛み)が走り、動けなくなる。実際、0号ちゃんは明に反抗して掴みかかっただけで、自壊させられそうになっていて、ロボット三原則的なものの存在を匂わせている。
 だがソルトはナイフを絵里に突きつけ、絵里も「下手うてば刺される」と理解して抵抗をやめている。もしロボット三原則があれば「オラ、やってみろよ」とナイフに向かって進むだけで、ソルトは負荷がかかって自壊し、絵里はあっさり開放される。
 つまり、「攻撃できないような設計」とはロボット三原則のようなものでなく、「設計者である明マミーが復活するための、鍵となる人物には攻撃できない」という設計であると推察できる。実際、明を攻撃する0号ちゃんを、明マミーが止めようとする描写や、明が0号ちゃんへ反撃しようとしたときも、0号ちゃんのボディ破壊を守るように、明の動きが制限されている。
 また、ソルトの親分が、0号ちゃん追跡の際、かなり強引な交通制限をして交通事故を多発させ、人間に危害を加えまくっている。明が破損することなく、0号ちゃんの回収ができることを最優先しており、ロボット三原則のような安全装置はないと思われる。もしあったら、海中 絵里も改造ソルトを明にけしかけたりはしないだろうし。
 以上から、ロボット三原則が存在して「そういうことはできないように設計されている」ように思わせつつ、実は明マミーが復活するのに必要な存在を、潰されないように仕組んだルールではないか、と結論できる。

4.まとめ

 0号ちゃんが明を害しようとしたところ。これが、手塚治虫著「火の鳥」にてロビタが、自分は人間だと主張するため、嫌いな主人を意図的に死に至らしめ、「私がやりました」と自白するシーンのオマージュではないかと思う。でもなんで愛する人を害しようとしたのか、理不尽。
 その理不尽さを、「人間らしさ」と受け取ったのか・・。
 命令に逆らうことで、自分が自己決定権を持つ存在であると、知らしめたかったのか。存在証明? 自分が愛する人の最後を決めることで、愛する人の形を固定したかった?
 この段だけはイマイチ理解しきれない。

 とにかく、第1段階での明マミーの復活は半々の状態になり、0号ちゃんの人格は消え、その記憶もどうやら無くなった。明マミーの記憶は0号ちゃんの体に上書きされ、「0号ちゃん?」になるも、これもまた不完全で、ハンバーグが焼け焦げても反応しないような、成人女性の記憶をもつにしても不自然な存在になってしまった。
 これらは多分、絵里による誘拐事件のせいで、明とソルトの親分の覚醒が早まり、本来ならもっとゆっくり行われるべきだったスケジュールが大幅に前倒しされてしまった結果だと思う。
 多分、その後は「0号ちゃん?」が、第三人類Ver.3を完成させ、明マミーの完全復活となるんだろうな、と思う。

5.最後に

 最初は失敗ばかりでトボトボ階段を登っていた0号ちゃんが、うまくいくようになって、階段をトントンって嬉しそうに登っていくようになった後ろ姿が、ずっと心から消えない。
 彼女は、消えちゃったんだなあ。調理もフロアもだんだんできるようになって、茜たちに拍手された0号ちゃんは、消えちゃったんだな。
 この考察からは、明マミーがサイコパスということになるけども、これって叔父さんの言っていた「研究者は家族を顧みないもの」というセリフで暗示されていたんではないだろうか。研究・目的のためなら、家族も顧みないし、必要であれば利用する、という……。その突き抜けた部分、明の「母は化け物だった」というセリフにあるような突き抜け方ができてない(家族との関係をすごく気にしている)から、叔父さんは突き抜けた研究者になれていないのかも。

以上、考察終わり。
すごくいい映画をみせてもらいました。
ありがとう。
#メイクアガール #ネタバレ


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