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太極拳と年齢2
6/23は伊東顧問が88歳の記念に陳氏太極拳を表演され、年齢を理由に最初から諦めてはいけないと改めて痛感させられるとともに、その時々にできることを無理せず最善の方法で成すことが大事であると示していただいたように思っています。 陳氏太極拳は、一般には激しい動きで若者向き、とも誤解されがちなようですが、伊東顧問の例も然り、そしてこの動画の凃宗仁老師も然り、です。この時、凃宗仁老師は77歳あたりかと思いますが、とてもキレのある動きです。例えば、約15秒あたりの金剛搗碓の動きは、同じ速さを出すのはなかなか難しいです。 ちなみに、この套路は以前の記事にも紹介した通り、第八代宗師の陳延熙公*から直々に伝わったとされる古典的な套路で、当クラブも基本的に同じ套路を踏襲しています。 陳氏太極拳は若いと力いっぱい動きがちな気もしますが、実際には脱力が肝要で、その結果としてキレのある速い動きにつながります。震脚も力一杯踏むのではなく、程よく脱力すると予想以上に大きな音が出るものです。 いずれ、年齢を理由に陳氏太極拳は無理とは思い込まず、その時々にできる最善を心がけていただくことが大切なことだろうと考えています。
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太極拳と年齢
当クラブには80歳以上のご高齢の方も何名か在籍していますが、太極拳を始めようと考える時に年齢を気にされる方もいらっしゃいます。年齢を重ねれば体を動かすことに不安を感じ、俊敏な動きなど到底できないと考えてしまうのは自然なことかもしれません。 また、一方では太極拳はゆっくりした動きしかないものと思い込まれ、物足りなさを言う方がいるのも事実です。 しかし、これらの認識を覆すのが今回の動画です。 呉式太極拳の馬岳梁さんという、故人ですが大変高名な達人であった方の85歳の時の表演です。 快拳という素早い動作を旨とする套路ですが、時々にとても機敏な動きを見て取ることができます。 例えば、45秒辺りの搂膝拗步は、異常とも言える速度の推掌(=手のひらを前方に押し出す動き)です。昔の記録なので一瞬ビデオテープが飛んでしまっただけとも思いましたが、噴水の後ろを歩いている人は普通の速さで途切れなく動いていますから、これは単純に馬岳梁さんの推掌が早過ぎるだけでした。 試しに0.5倍速にしても速い推掌で、0.25倍速でやっと少し目で追える感じです。つまり、その4倍の速度で実際の掌打がくるわけですから、私は想像するだけで絶句です。恐るべし。 そして忘れてならないのは、85歳でそのレベルの速さです。 馬岳梁さんは特別な達人ですから同じレベルが可能とは言いませんが、年齢を理由に限界を設けては勿体ないように感じます。 当然ながら無理してはいけませんが、向上心を持つことは大事ですし、太極拳が広げる自分の可能性というものを感じていただけたなら幸いです。 なお、余談ですが、快拳は一般的なゆっくりした動き(慢架)の延長にあるもので呉式に限ったものではないですし、全部の動きが速いこともありますが緩急をつけるものが多い印象です。 小さいお子さんも含め、お若い方もこの速さを目指して太極拳の修練に励んでみてはいかがでしょうか。
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八式太極拳
この数ヶ月で多くの新メンバーが加わり、大変嬉しく思っています。 これまでは初学者の最初の目標として楊式太極拳(85式)の第一段である1〜14式の習得を設定していましたが、感覚的には平均で半年から一年程を要する印象があります。 もう少し早くに習得の達成感を持っていただくことを考え、最初の目標をこの動画の「八式太極拳」に改めます。 これは第7式の搂膝拗步まで85式と順序は同じで、その次を十字手に変えた套路です。要は、第一段をさらに細かく区切ったようなものです。 覚える数が少し減った程度ですがわずかでも負荷が下がる方が取り組みやすいでしょうし、7式まではスペースをあまり必要としないため自宅で練習しやすい点でも優れています。 可能であれば各名称も覚えると、後々の課題達成にも役立つでしょう。 1式. 預備式(よびしき) 2式. 起勢(きせい) 3式. 攬雀尾(らんじゃくび) =左掤(ほう/ポン)、右掤、扌履(り/リー)、擠(せい/ジー)、按の5動作。 4式. 単鞭(たんべん) 5式. 堤手上勢(ていしゅじょうせい) =堤手と上勢(=扌履と擠)の3動作 6式. 白鶴亮翅(はっかくりょうし) 7式. 左摟膝拗步(ひだりろうしつようほ) 8式. 十字手合太極(じゅうじてごうたいきょく) *当クラブの動作は故・川島師範によって日本古武道の要素も入ったもので、傅清泉老師と完全に同じ動作ではない点はご注意ください。 ある程度の熟練者も裏(=鏡動作)に取り組んでみると良いでしょう。表・裏のどちらでも動けると体の左右差の解消も早くなるはずです。 裏に取り組んだことがない方にとってもちょうど良い長さです。 <余談> 動画の傅清泉老師は楊式太極拳の創始者・楊露禅公の昆孫(玄孫の孫)なそうです。 撮影場所の盛岡は個人的に所縁のある土地なのですが、日本の地方にも訪れて広く伝えられていることに感慨深いものを覚えます。
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(参考)楊式太極拳85式
当クラブでは楊式太極拳85式を重視しています。楊式太極拳の創始者・楊露禅公の孫にあたる楊澄甫公が85式を編纂したとされていますが、この動画では楊澄甫公の動作を絵にしたものを添えているので、とても参考になるかと思います。 なお、当クラブの動きは一般的な85式とは少し違う点があります。当クラブの套路は楊心会の創始者である故・川島師範から伝えられているもので、川島師範は日本古武道の免許皆伝を得た方でもあり、その要素が少し入っているように感じていますが、さらに老若男女の広い層が取り組みやすい動きで構成されています。 以下、套路順です。 (第一段) 1式. 預備式(よびしき) 2式. 起勢(きせい) 3式. 攬雀尾(らんじゃくび) 4式. 単鞭(たんべん) 5式. 堤手上勢(ていしゅじょうせい) 6式. 白鶴亮翅(はっかくりょうし) 7式. 左摟膝拗步(ひだりろうしつようほ) 8式. 手揮琵琶(しゅきびわ) 9式. 左右摟膝拗步(さゆうろうしつようほ) 10式. 手揮琵琶 11式. 左摟膝拗步 12式. 進歩搬攔捶(しんぽばんらんすい) 13式. 如封似閉(にょふうじへい) 14式. 十字手(じゅうじて) (第二段) 15式. 抱虎帰山(ほうこきざん) 16式. 肘底看捶(ちゅうていかんすい) 17式. 左右倒攆猴(さゆうとうでんこう) 18式. 斜飛式(しゃびしき) 19式. 堤手上勢 20式. 白鶴亮翅 21式. 左摟膝拗步 22式. 海底針(かいていしん) 23式. 扇通背(せんつうはい) 24式. 撇身捶(へいしんすい) 25式. 進歩搬攔捶 26式. 上歩攬雀尾(じょうほらんじゃくび) 27式. 単鞭 28式. 雲手(うんしゅ) 29式. 単鞭 30式. 高探馬(こうたんま) 31式. 左右分脚(さゆうぶんきゃく) 32式. 転身(左)蹬脚(てんしんとうきゃく) 33式. 左右搂膝拗步 34式. 進歩栽捶(しんぽさいすい) 35式. 翻身撇身捶(ほんしんへいしんすい) 36式. 進歩搬攔捶 37式. 右蹬脚(みぎとうきゃく) 38式. 左打虎式(ひだりだこしき) 39式. 右打虎式(みぎだこしき) 40式. 回身右蹬脚(かいしんみぎとうきゃく) 41式. 双峰貫耳(そうほうかんじ) 42式. 左蹬脚(ひだりとうきゃく) 43式. 転身右蹬脚(てんしんみぎとうきゃく) 44式. 進歩搬攔捶 45式. 如封似閉 46式. 十字手 (第三段) 47式. 抱虎帰山 48式. 斜単鞭(しゃたんべん) 49式. 野馬分鬃(のまぶんそう) 50式. 攬雀尾 51式. 単鞭 52式. 玉女穿梭(ぎょくじょせんさ) 53式. 攬雀尾 54式. 単鞭 55式. 雲手 56式. 単鞭 57式. 下勢(かせい) 58式. 金鶏独立(きんけいどくりつ) 59式. 左右倒攆猴 60式. 斜飛式 61式. 堤手上勢 62式. 白鶴亮翅 63式. 左摟膝拗步 64式. 海底針 65式. 扇通背 66式. 転身白蛇吐信(てんしんはくだとしん) 67式. 進歩搬攔捶 68式. 上歩攬雀尾 69式. 単鞭 70式. 雲手 71式. 単鞭 72式. 高探馬帯穿掌(こうたんまたいせんしょう) 73式. 十字腿(じゅうじたい) 74式. 進歩指襠捶(しんぽしとうすい) 75式. 上歩攬雀尾 76式. 単鞭 77式. 下勢 78式. 上歩七星(じょうほしちせい) 79式. 退歩跨虎(たいほここ) 80式. 転身擺蓮(てんしんはいれん) 81式. 弯弓射虎(わんきゅうしゃこ) 82式. 進歩搬攔捶 83式. 如封似閉 84式. 十字手 85式. 収勢(しゅうせい) なお、一般的に同じ動作であっても漢字が違うことがあります。 例えば「せんつうはい」と呼ばれる動作は、扇通背とも閃通背とも書かれます。同様に「うんしゅ」も雲手と云手のどちらの書き方もあります。 また、倒攆猴(とうでんこう)と倒巻肱(とうけんこう)のように、日本語読みから違うこともありますが、これらは同じ動作を示しています。
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杜毓澤公_陳氏太極拳老架一路
当クラブの陳氏太極拳は、この套路がベースです。 これは陳氏太極拳正宗の第八代宗師の陳延熙公*から直々に教わったとされる套路で、太極拳の最も源流に近いものと考えられる貴重なものです。 *(以下、敬称略)陳延熙の祖父は、楊式太極拳の祖・楊露禅が太極拳を学んだ陳長興。子は北京で高い名声を得た陳発科(陳發科)。中国大陸で残っている陳発科伝の套路とは違う点も多く、これは古い形を残した古典的な陳氏太極拳と推測されるもの。 誤解してはならないのは、音楽と同じくクラシック(古典)だから良い悪いではなく、そのような歴史の歩みがあったと理解することが重要で、当クラブではその観点で優劣を考えることはありません。
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