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多子世帯の大学授業料無償化について思うこと [2023/12/09 #017]

どーも、理系パパです。
3人以上の子供がいる世帯で大学授業料を無償化するニュースが話題ですね。我が家も長男(5歳)、長女(2歳)、次女(0歳)の3人の子供がいるため、対象になるため、事の顛末を注視したいと思っています。一方で、実際にこの政策が少子化に歯止めをかける切り札になるかというと、それほど効果はないような気がします。今日はすこし私の考えをシェアしたいと思います。

まず背景知識として、大学の授業料が世帯の教育費の中でどれくらいを占めているかを確認します。この制度がカバーする「大学」というのが私立を含むのか、国立大だけなのかにもよるのですが、私立を含めると授業料の大小が極端に大きくなるため、制度としては国立大学に限られるのではないかと思います。(私立大学の医学部だと6年間の授業料が数千万円になるので、標準額が設定されてその分を無償化するような制度になるのでは??)そうなると、国立大学の授業料の標準額である年間53万5800円の4年分である、214万円が無償化の対象となります。(入学金なども含めるともう少し増えるかもしれませんが。)一方で、子供一人を大学まで卒業させるのにかかる教育費は1000万円から2600万円とか言われています。なので、教育費のうち10%~20%が無償化するということになります。確かに大きな金額で、子供を増やすインセンティブとしては有効なように思えます。

しかし、そもそも少子化の原因について少し調べると、①晩婚化・未婚化と②子供を産まない世帯の増加が主要因とされている説が有力なようです。この2つの要因に対して、上記の教育費がどの程度影響を与えるかですが、①晩婚化・未婚化に対しては全く影響なさそうですし、②子供を産まない世帯の増加についても、1人目をもうけるかどうかの決断にとって、第3子以上いる世帯に影響する政策が関係するとは思えないです。そういう意味で、あまり少子化対策には大きな効果が無いように思います。確かに子供が2人いる家庭で、もう少し経済的余裕があれば3人目も考えるという家庭にとっては、インセンティブとして働くかもしれませんが、影響は小さそうです。

もう一つの要素は、政府への信頼の問題です。大学入学は早くとも子供が18歳になった時なので、今この瞬間に3人の子供の親になろうと決断してから、その子供が大学に通うまでに20年以上という時間がかかります。この制度がそんな未来まで維持されているかもよく分からないですし、無償化した分他の手当などが減らされて、結局それほど大きな恩恵がない制度になるのではという不信感もあります。そもそも大学授業料を無償化することで子供をもうけるということは、逆を言えばこの制度がなくなってしまうと教育費を捻出できない可能性があるということで、制度が永続する保証がない中で非常に大きな博打を打つということになります。そんな賭けをしてまで子供を増やすという判断にはあまりならないような気がします。

以上2つの点からあまり少子化対策にはならないような気がするのですが、一方で子供に対する支援自体は行うべきと思います。大学の学費を学生ローンで借りて、それを就職後も長い期間かけて払い続けるという現実を考えると、教育費を無償化するという方向性は間違っていないと思います。実際、高校の授業料についても無償化の流れがありますし。できれば多子世帯だけでなく、すべての教育費を無償化するような方向に舵を切ってほしいと思います。子供への投資は将来の国への投資という観点からも、お金を入れるべき優先度の高い領域だと思います。

今後詳細の政策パッケージが作りこまれると思いますが、新しい情報が出てきたら再度考察してみようと思います。

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