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ブログ記事は随筆を目指すべきという私見
ブログの書き方に悩んでいる人は多いのではないでしょうか?
ブログの記事なんて書きたいことを好きなように書けばいいだけです。法や公序良俗に反しなければ、完全に自由です。
でも「できればこうしたい」という指針があるに越したことはありません。扱うテーマに関わらず、どんなブログでも共通する目指すべき姿のようなものです。
ということで、「こんな記事を書きたい」「こんな記事を読みたい」という偏見に満ちた意見を書き残しておきます。
もしかしたら何らかの参考になるかもしれませんので。
ブログは随筆を目指して書くべき
結論から言います。
「ブログは随筆を目指すべき」
これが私の考えです。
これだけで「その通りだ」と思ってくれる人もいれば(いて欲しい)、何を言いたいのかわからない人もいるだろうと思っています。
理解力の問題ではありません。
「ブログとは何か?」「随筆とは何か?」これが、とんでもなく曖昧で、人によって捉え方が違うからです。
そこでブログとは何か、まずはそこからスタートしましょう。ブログの解釈に齟齬があると、この記事で言いたいことが何も伝わらないので。
ブログとは何かわからない
ブログとは何かという決まった答えはなく、人によって抱いているイメージが大きく違います。
両極端なブログの定義を挙げてみましょう。
(1)覚え書きなどを時系列で書き残すウェブ上のログ
(2)ブログサービスやブログソフト(Word Press など)を使って作成したウェブサイト
(1)はテーマや形式で限定したもの、(2)はテーマや形式には関係なくウェブサイトの作成方法で分類したものです。どちらも間違いではありません。
これほど掛け離れた定義が両立しているものは、他に思いつかないほどです。
(1)はブログ初期(2000年代前半)によく使われていた定義ですが、当時とは状況が大きく変わっています。この定義のブログが担ってきた役割の多くはSNSに移っていて、今の時代にふさわしいものではありません。
かといって、(2)のようにウェブサイトを何で構築しているかでブログを定義するには個人的に抵抗があります。
Word Press は、すでにブログ作成ソフトの枠を超えてウェブサイト作成ソフトというべき存在になっています。Word Pressで作成したものを全てブログと呼ぶと、ブログとその他のサイトの区別がつきません。実際に、ウェブサイトを全てブログと呼ぶような風潮まで広まりつつあります。
でも「それは違うだろ」というのが私の気持ちです。
ここでいうブログとは
ということで、ここでいうブログとはどんなものか、少しはっきりさせたいと思います。あくまでも私の考えに過ぎないので、ここだけの決まりごとと思ってください。
「ブログとは個人が情報発信しているSNSより長文で文章を主体としたウェブサイトのことを言う」
「個人が情報発信している」としたのは、企業や店舗のホームページは、たとえWord Press で作っていてもブログではないと考えているからです(サイト内のコンテンツとして、企業内の誰かが発信しているブログがあるのはOKです)。
「SNSより長文」というのは、文章を主体としているTwtterを意識して入れた言葉です。
文章とは何なのか?
あとは「文章を主体とした」というだけなのですが、「文章」という言葉も人によって捉え方が違います。ですから、少し明確にしておきましょう。
ちょっと辞書をみてみます。
1 文を連ねて、まとまった思想・感情を表現したもの。主に詩に対して、散文をいう。
2 文法で、文よりも大きな単位。一文だけのこともあるが、通常はいくつかの文が集まって、まとまった思想・話題を表現するもの。
……略
コトバンク、デジタル大辞泉
文字を連ねただけでは文章とは呼べません。「まとまった思想・感情を表現したもの」「まとまった思想・話題を表現するもの」とあるように、何かを表現するものが文章です。
辞書は言葉で埋め尽くされていますが、これは文章とは呼べないと言えばイメージしやすいのではないでしょうか?
書籍の本文は文章ですが、目次や索引の部分は文章ではありません。
ブログの定義を「文字情報を主体とした」とか「テキストを主体とした」ではなく、「文章を主体とした」としたのは、このためです。
辞書や索引に近いサイトはブログとは呼ぶのに(個人的に)抵抗があるので、それを排除しようという考えからです。
具体例を挙げれば、
・辞書、辞典サイト
・まとめサイト(便利なリンク集など)
・用語解説サイト
・リファレンスマニュアル
などです。
誤解して欲しくないのは、このようなサイトを下に見ているのではないということです。
個人的にも便利に利用させてもらっていますし、人に役立つサイトを大変な労力をかけて作成する姿勢には頭が下がります。
ただ、ブログとは別ジャンルだと考えているというだけです。
ブログは、記事のひとつひとつが、何らかの話題や主張を提供するもの(それを文章と捉えています)だと思っています。
これが私のイメージする「ブログ」です。なんとなくわかってもらえたでしょうか?
随筆とは何か?
遺筆とは何か? 実はこれも難しい問題です。
これを話し出すと、それだけでひとつの随筆になってしまいますので、ここではWikpediaの随筆の項を参照します。
随筆(ずいひつ)とは、文学における一形式で、筆者の体験や読書などから得た知識をもとに、それに対する感想・思索・思想をまとめた散文である。随想(ずいそう)、エッセイ、エッセー(仏: essai[1], 英: essay[1])などともいう。「essai」の原義は「試み」であり、「試論(試みの論文)」という意味を経て文学ジャンルとなった。
Wikipedia
随筆とは「体験や読書などから得た知識をもとに、感想・思索・思想をまとめた散文形式の文学形式」と言ったところでしょうか。
ブログの記事(文章)は「まとまった思想や話題を提供するもの」でした。
私の言いたいことが、大体見えてきたと思います。
ブログの記事とはどんなものか
ブログは「個人が情報発信しているSNSより長文の文章を主体としたウェブサイト」のことだとしました。
「ある程度まとまった話題を文字によって提供するもの」
日常の出来事、時事問題、趣味の話、本の感想、学んだことの解説、自分の知識の説明……全てOKです。
ここまで長々と書いてきましたが、結局はみなさんが思っている「ブログ」のイメージと大きく違わないのではないでしょうか。
そして、随筆は「体験や知識をもとに感想や思索をまとめた散文」です。
随筆のテーマはなんでもOKです。
日常の出来事、時事問題、趣味の話、本の感想、学んだことの解説、自分の知識の説明……ブログの題材と全く一緒です。
ブログ記事は随筆という文学にまで昇華させるべきなんて言いません。ただ随筆のような文章を目標としてはどうかと言いたいだけです。
随筆を目標とするということ
随筆は文学作品です。文学というと堅苦しく感じますが、感想・思索・思想などを絡めて読みものという作品にしているというだけです。
感想・思索・思想などを絡めるのは、そうすると面白い読み物になるからです。あくまでも、面白くする手段に過ぎません。
随筆を目標とするというのは、読み物として楽しめる作品を目指そうというだけのことです。読み手の立場に立って面白く読めるように心がけるだけで、随筆に近づいていくはずです。
随筆とエッセイ
ここまで「随筆」と言ってきましたが、これを「エッセイ」と置き換えても大丈夫です。むしろ「ブログはエッセイのように書こう」と言った方が、ニュアンスが伝わるかもしれません。
言葉の印象は「随筆」の方が重く、「エッセイ」の方が軽いので、軽快な感じがするエッセイを使う方が相応しい気がします。
ただ、これは漢字で書いたものよりカタカナ言葉の方が軽く感じるというだけのこと。本来の意味を調べてみると、エッセイの方が哲学的、批評的な意味合いが強く、随筆の方がより柔軟で幅広いようなので、敢えて「随筆」にしました。
”つれづれなるまゝに、日くらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。”
吉田兼好の『徒然草』の序段ですが、何よりブログにぴったりの表現ではないでしょうか。
実は、これを引用したくて「随筆」にしたというのが本当のところです。
日記は随筆になる?
日記はどうでしょうか?
日記の特徴は、時系列に沿ってそのときに遭った出来事を題材にしていることが特徴です。
題材が時系列に沿っているだけで、随筆の題材との違いはありません。
さきほど日本の随筆として『徒然草』の一文を出しました。日本には随筆以外にも『土佐日記』『蜻蛉日記』などの日記文学が、古くからありました。起こったことを時系列に書いた日記でも、素晴らしい読み物になるのです。
個人的には、これも随筆に含めてもいいと思っています。
言いたかったことは何なのか?
随筆と呼べるレベルのブログは沢山あります。noteにもいくらでもあります。やってる人は当たり前にやってるのです。
「ブログ記事は随筆を目指すべき」などと偉そうなことを言いましたが、「この材料をどう料理すれば面白くなるか意識して記事を書いた方がいい」という当たり前のことを言ってるに過ぎません。
それをあえて書いたのは、ブログの書き方を検索してみても、面白さに触れた記事が見つからなかったからです。
当たり前すぎて書いてないのかもしれませんが、工夫もなく情報を並べただけのブログが多いのも事実です。
もっと面白さを重視してみませんか?
具体論が全くない
ここまで読んで頂いて「具体的にどうすればいいんだ?」と思われた方がいるかもしれません。
すみません。具体論は書けません。
こうすれば面白い作品に仕上がるという具体的な手段なんてないからです。あえて言うとすれば、「斬新な切り口や他とは違う考え方を提示する」というくらいのあいまいなことだけです。
実際には「どうやったら面白くなるのか?」と考えながら記事を書いていくしかありません。私も試行錯誤しながら書いている途中です。
最後にひとつ。
「面白い読み物にする」これは人工知能にはできないことです。
人工知能にできないことを目指すというのは、ブログに限らずこれからの時代に必須の考え方だと思います。