やっと終わり。
部活の会計係を卒業した。人生初の会計係で、わたしにとっては大きなチャレンジであった。
人のお金を預かる怖さを1年間味わった。学期ごとに扱う金額はわが家の家計よりもはるかに多い。お札をあんなに数えることはもう一生ないと思う。しかし人のお金だと思うと、なんの感情も湧かない。札束を見ても欲しいとも思わないし、ちょっと使ってやるかとも思わない。「みんなのお金」と思うと、1円でも安い出費になるように慎重になる。
コロナ禍のため活動自体が3ヶ月ストップしたし、コンクールも全て中止になったので、本来動かすはずだったお金よりも実際には半分以下の決算になった。現金で扱った一番大きな金額は、チューバという楽器を購入した時のもの。これは先輩たちが代々積み立ててきたお金から出した。10年分の積立金だ。郵便局から振込む為に、200mくらい離れた銀行から運んだのだが、かなり緊張した。落としたら、ひったくられたら、交通事故にあったら、と、ネガティブな妄想が次々に思い浮かんで、ひええと言いながら歩いた。
お金がずっと怖かった。わたしとは縁がないものと思っていた。もちろん、今回も人のお金だから、自分とは関係がないのだけれど、それでも少し慣れた。怖いと思っていたのは、お金ではない、と思った。お金はわたしを叱ったり、脅したり、破滅させたりしない。そうさせるのは、自分の行動、思考なのだ。
「カネの切れ目が恋の始まり」というドラマを見た。会計係をする前にこれを見ていたら、随分違っただろうなとも思った。お金に向かって、誠実であること。たとえお金に苦しめられることがあっても、嫌わないこと。
お金にまつわる不幸は、お金のせいではない。全て人間のせいだ。そう思えただけでも、随分と良い経験をさせてもらえたのだと思う。なんでもそうだが、終わりの時になって、「今ならもっとうまくやれそうだ」と思う。でも今、肩の荷が下りて、楽になっている自分もいる。
ありがとう。勉強になりました。