季節の変わり目は
わが家で『よく熱を出す選手権』を開催したら、
優勝はオットである。
雨に濡れたら、必ず熱を出す。
季節の変わり目には必ず風邪をひき、
高熱による寝汗で布団がグシャグシャになる。
しかし、彼の体のシステムは優秀なのだそうだ。
野口整体など自然治癒力を大事にする考え方だと、
身体のリズムが整っている人ほど、
季節ごとに熱を出し、デトックスをするらしい。
子どもの頃、わたしが熱を出したら、
おばあちゃんがリンゴを擦ってくれた。
たいして美味しいとは思ってなかったが、
なんとなく治る気がした。
リンゴ→たまご粥→葛湯
というローテーションだった。
茶色く変色したリンゴのすりおろしをスプーンで食べ、
薄い黄色のお粥をふぅふぅしながら食べ、
熱々のとろりとした葛湯をじわじわ飲む。
ちょっと離れたソファで横になっているオットに
「リンゴ擦ってみようか」と言ったら、
「ん…」と返事のような、寝言のような声を出した。
台所に立つと、朝の洗い物が残っていた。
それでつい、洗い物に没頭してしまった。
しばらくして、「リンゴは?」と声がした。
もしかしたら、
季節ごとに熱を出して人に構ってもらう、というのも、
精神的にいい効果があるのかもしれないな、と
わたしは冷蔵庫からリンゴを取り出しながら思った。
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