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【美しいもの】白魚の手

久しぶりにバスに乗った。始発で出発したときはそれなりの混み具合だったのが、バス停にとまるたびに次々と女子学生が乗り込んできて、バスはあっいうまに満員になった。
中高一貫の女子校の登校時間帯だったらしい。
乗れるだけ乗ってくるから、車内はぎゅうぎゅう詰めになった。
僕のすぐ隣に女子学生がバスの支柱を必死につかんでいた。坂道を登っていくバスが大きく左右に揺れるものだから体をもっていかれないよう必死につかまっている。
僕は、なにげなしに支柱をつかむ白い手を見て、どきりとした。
陶器のように白くきめ細かな肌をしたその手は見入ってしまうほど美しかった。
いわゆる白魚の手とはこういうものなのかと思った。
僕は女子学生フリークでは無い。
多分普通の親父だ。

頭にサミュエルウルマンの詩の一節が浮かんだ。
“バラのような頬、紅の唇、しなやかな膝“
ウルマンは若々しさとは外見ではないよというけれど、それはそれとして、今目の前にした白魚の手は、だれもが納得せざるを得ない若々しさの象徴だ。
(参考)
Youth Samuel Ullman

Youth is not a time of life, it is a state of mind.
It is not a matter of rosy cheeks, red lips and supple knees,
it is a matter of the will, a quality of the imagination, a vigor of the emotions,
it is the freshness of the deep springs of life.

そういえば、
若々しさを感じさせるカラダのパーツとしては、背中のカーブがあると思う。
頭の後頭部から首筋、背中にかけてのラインと
背中の肩甲骨から背骨、そこからまた肩甲骨にかけてのラインだ。
背中が丸まっていると、のっぺらして、本当に老けて見える。

誰かと面と向かって人の外見のことはマナーとして話せないが、若さを感じさせるカラダのパーツとしての背中と手指の破壊力は計り知れないと思う。

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