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【061】新任人事責任者のロードマップ:最大初速で成果を出すために

新たに人事責任者としての役割を担うことになった方へ。
人事のプロとして即座に成果を出すために、初期段階でどのようなアプローチを取るべきか、具体的な手法をご紹介します。これまでに経験した企業の人事責任者やCHROとしての役割、さらにスタートアップ企業での非常勤人事顧問としての体験を基に、結果がでるノウハウを着手順にまとめました。

【1】社長との戦略セッション:ゴールイメージのすりあわせ

まず最初に行うべきは、社長との面談を通じて会社のゴールイメージをすりあわせることです。人事戦略は単なる手段であり、最終的な目的は企業のゴール達成です。社長には会社の将来像や事業の目標について深掘りし、それに基づき人事が取り組むべき方向性を模索します。

例えば社長にはこんな質問をします。
「3年後(※)の会社のイメージは?」
「その時の主力事業は何をやっていますか?」
「その時の従業員数は?」
「その際に必要な経営幹部、中間管理職は何名ですか?」
「企業文化としてはどうなっているのが理想ですか?」
「それに近い会社(ベンチーマーク企業)は?」
ゴールイメージをすり合わせることで、目先の施策で迷った時もゴールに立ち返ることができるようになります。

※人事戦略上のゴールは1年だと短すぎるので3年ぐらいが妥当だと考えています。例えば理想のキーパーソンを獲得するにも、組織カルチャーを入れ替えるにも1年では難しいからです。

過去に、ゴールをすりあわせる前に「人事に対する期待役割=施策や課題」からヒアリングして失敗したことがあります。ゴール確認をせずに課題からはいってしてしまうと「やったほうがいいけれど、やらなくても困らない施策」が続々とリストアップされてしまうので、人事が何人いても足りません。さらに、優先順位づけは「メルカリがリリースして話題のあの人事施策をウチでも」などが上位に来てしまい、ゴールドリブンではなく手段ドリブンな人事戦略ができあがってしまいます。この失敗に懲りて以来、ゴールの確認こそ重要と心得ています。

【2】キーパーソンとの面談による現状把握:定性的に把握

次に行うのが現状把握のための個別面談です。
対象は、経営メンバー全員と社員のキーパーソンです。(対象者は社長面談時に確認しておく)

彼らには社長と同様に「会社のゴールイメージ」を尋ねます。社長ー幹部間で会話が充分でない場合には、会社の将来像が共有できていないこともありますが、その溝を埋めていくのが人事の仕事なので、想定の範囲内です。

そのほかにも
「社長に対してどんな要望があるのか?」
「人事に対してどんな要望があるのか?」
「現状の組織課題は何か?」
などのダイレクトな質問も有効です。彼らが日頃何を考えているのか、どのような価値観を持っているのか、理解を深めることは、今後の人事活動の支援を期待する上でもとても重要です。

【3】全社員アンケートによる現状把握:定量的に把握

同時に、全社員を対象としたアンケートを通じて、組織全体の声も拾います。アンケートにはeNPSを含めることによって組織の現状と時系列の進捗を定量的に把握することができます。

アンケート項目の中には
「人事に対する不満は?要望は?」
などのオープンな質問も加えると普段は耳に入ってくることがない本音も聞くことができます。

不満を聞いてしまったら逃げることができないので、そんなアンケートは実施したくないと考える経営者や人事責任者もいるでしょう。その意見も理解できますが、仮に従業員の不満を吸い上げなかったとしても、その不満は水面下で拡散するだけでよりタチが悪いので、いっそ顕在化させて対応できることと対応できないことを約束してしまった方が中長期的には健全な状態を保つことができるように思います。

【参考】eNPS(Employee Net Promoter Score)とは
eNPS(Employee Net Promoter Score)は、従業員のロイヤリティと職場への満足度を測る指標です。従業員に「職場を友人に推薦する確率を0から10のスケールで評価してもらい、その結果を基に推奨者と批判者の割合から算出します。このスコアは、組織のエンゲージメントを理解し改善するために役立ちます。 参考URL : https://media.unipos.me/enps 

【4】人事戦略と施策の優先順位決め:面談やアンケート結果をもとに社長とディスカッション

いよいよ、面談やアンケートから得た情報を元に人事戦略および施策の優先順位を決めるステップです。

ゴールのイメージは社長とすり合わせ済みなので、ここでは人事責任者が単独で草案を作成します。面談やアンケートで回収した材料をもとに、人事戦略と、具体的な施策のリストアップ、その優先順位づけを行います。

次にそれらを叩き台として、社長とディスカッションを行なって精査していきます。優先順位は、「インパクトの大きさ」×「かかる工数の小ささ」で決定します。手間をかけずに大きなインパクトが期待できるものから着手することで、短期間で成果を最大化できます。また、後に全社員に発表する際にこの優先順位の考え方も共有することで、合意を得やすくなります。

【5】戦略と施策の全社への公表

人事戦略および施策の優先順位が完成したら、それを全社に向けて共有します。全社員が集まる月次の定例会議などがあれば、そのタイミングがベストです。ここまでの一連のアクションを、人事責任者に就任してから1ヶ月ぐらいでできるのが理想です。

できないことは、理由を添えてできない(もしくは一定の期限までは保留と)宣言できれば、アンケートによってネガティブなコメントを回収していたとしても、人事に対する信頼を失うことは避けられます。

【6】実行!

ここまでを1ヶ月前後で実施できれば、あとは実行するだけです。

新たな役割にアサインされた際には、最初の3ヶ月が肝心と言われます。残りの2ヶ月で優先順位の高いところから着手していくことができれば、新しい人事部の信頼を得ることができるでしょう。

その後も定期的な進捗の共有や振り返りは忘れずに。

おわりに

まとめると、目標の設定→現状の把握→戦略決定→共有→実行
というシンプルな流れになります。
新任人事責任者として成功への道を切り開くためには、戦略的な準備と実行が重要です。この記事が誰かの初期のステップとして役立つことを願っています。フィードバックや質問があれば、ぜひお寄せください。

新しい挑戦を応援しています!

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