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【読書おすすめ】まず、ちゃんと聴く。(櫻井将)
最初に書くけどこれは私としてかなりおすすめ。
傾聴に関する本をいくつか読んできたが、ここまで「聴く力」をはっきりと定義し、因数分解して、それぞれの要素を分かりやすくまとめている本には初めて出合えた。
「まず、ちゃんと聴く」、つまり自分とは異なる他者の肯定的意図を受け取るのが出発点だ。
そうすれば事業のパフォーマンスも組織風土も、大きく飛躍すると私は信じている。
「肯定的意図」とはなにか?これは因数分解の公式の、一番左側になる。
どんな相手の言動にも理がある。例えば身近で信用できる誰かが、思いがけない行動をしたとき、背景や理由があるのだろうとおもんぱかる、その部分だ。
その存在を信念として、予断なくフラットに受け取ろうとすることが、聴くことのスタートになる。
これは実際の、イライラしたりすぐに口を挟みたくなる場面を想定すると、とても理解できるなと感じた。
そしていちばん理解できた図。
聞き手の関心を、話者に向けると予断が生じる。イメージとしては話し手と向かい合って視線を向けている感じ。
話し手と横並びのようなイメージで、聞き手の関心を、ぽっかり浮かんだ話し手の関心にむけていれば、予断は生じない。
寄り添い、受け止められる。
そのときのこえかけも、具体的に変わってくる。
対話をどのように広げて、相手の言葉になっていないニーズを引き出していくかの立体的地図も興味深かった。
著者は企業や組織での1on1を業としている(株)エールの代表だが、ここで語られている聴く力は、日常的な対話から宗教的な対立まで、あまねく応用できる軸になると感じた。そしていつでもそのスタートは、自分の肯定的意図に耳を傾けられることがスタートになる。自分を聴き他者を聴き、聴くことを互いにpay forwardしていける世界って最高だ。